2026/01/14 業界コラム 上島 敬人 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題第11話 イミュニティ検証の考え方と実際検証実験あれこれとシミュレーション Electrical & Magnetic EM上島Lab 代表 上島 敬人 【略歴】 総合家電メーカーにて42年間白物家電...もっと見る 【略歴】 総合家電メーカーにて42年間白物家電の設計開発部門にて下記業務に従事。 《商品設計(電気系)》 ハードウェア設計・評価:アナログ設計、SW電源、インバーター等 プリント基板設計:製造性、法規に熟知した実装パターン設計 品質・信頼性評価:EMC、熱、電気系信頼性評価・対策 開発マネジメント:FMEA、DR、法規等QMS管理・対内外折衝、VE推進 《電気系開発技術・システム開発》 CAD/PDMを中心としたシステム開発・運用 CAE:電磁界シミュレーションを活用したEMC検証、対策 【取得資格】 iNARTE EMC Design Engineer 皆様こんにちは、EM上島Lab 上島です。 家電商品のイミュニティ性能はどのように測るのでしょうか。 イミュニティは測定できるか第1話『イミュニティの世界』でも触れましたが、あらゆる電気製品は世の中にあふれているノイズに耐えなければなりません。 しかしながら、新しく開発した冷蔵庫があちらこちらで発生している雷に耐えられるかどうかを雷雨の広場に一定時間放置したり、下敷きと髪の毛をこすり合わせて静電気を発生させ商品を手に持ってみて挙動を確認するなどといったナンセンスまんがのような検証をするわけではありません。では、1回の落雷エネルギーが1億ボルトとも言われる雷に耐えられるか、どのくらいの耐量を持っているのかをどのように測定するのでしょうか。 雷の耐量試験雷サージ耐量の検証を例にしてみます。雷によって発生するサージ電圧波形を定義することから始まります。IEC6100-4-5では雷サージ試験が定義されています。ここでは直撃雷ではなく、家電商品の多くが誘導雷の影響を受けると考えられ、誘導雷を前提としたサージ電圧波形として定義されています。 図1 雷の侵入経路とIECで定義された雷サージ電圧波形 雷サージ試験機では、誘導雷を擬似的に定義した雷サージ電圧波形を発生させる装置を使いサージ電圧を商品に印加します。 この時、数kVから徐々に電圧を上昇させ異常動作や破壊が発生した印加電圧がいわゆる誤動作レベルと認知され、誤動作した一つ前の電圧がその商品の雷に対する耐量と位置づけられます。 イミュニティ検証実験あれこれもちろんですが、雷以外に静電気やインパルスノイズに対する耐量試験があります。それぞれのノイズ発生の原因から定義されたノイズ波形の発生装置や、ノイズが商品に影響を与える状態をモデル化した印加装置を組み合わせた実験装置を使い、ノイズに対する耐量を検証します。 これらの装置は、一定の条件で定義された波形を規定の方法で商品に印加するものですので一種のシミュレーション実験とも言えます。 あらゆるイミュニティの原因となる自然現象を全て模擬することは困難ですが、ノイズの入り口はある程度特定できることから雷、静電気、インパルスノイズ、強電界といった試験に一定程度耐える性能をもっている商品はお客様が実際に使う環境においても、誤動作などの不具合に至ることは少ない傾向にあります。 賢い話し方とイミュニティの微妙な関係人と会話をしていると、急に相手の機嫌を損ねてしまう時があります。とある話題が中心になり時には人生観や経験、知識の深さの差などからくる意見の相違が、つい言葉の端々にでてしまうと (議論が白熱してしまうとも言いますか) 、お互いに収まりがつかなくなるみたいな『あれ』 (どこかの監督が話題になった野球の優勝のことではありません) です。 ものの本には、真面目な人ほど陥りやすい状態らしく自分の意見を事実のように発言したり、人の話を聞いていない (人が話しているときに自分は次なにを言おうかと考えている) といったように、意図せずうまくいかない法則があるようです。 イミュニティ試験はその方法上、挙動しか見えません。商品の中で何かが起きている結果として現われます。課題の解決には現象の原因を推定したり、検証することが重要です。 人と議論する際も、議論の発端となった事実を客観的に捉え『この人は何を言わんとしているのか、なぜなのか』と考えながら自分の意見を伝えることが大事なのではないでしょうか。 あまり偉そうなことは言えませんが、意見を述べる際には『客観的な事実』『相手の言いたいことの聞き取り』『否定しないもの言い』といった賢い会話に気をつけたいものです。 次回は最終回。イミュニティの予測と対策について考えます。 最後までお読みいただきありがとうございました。 次回は3月号に掲載予定です。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする Electrical & Magnetic EM上島Lab 代表 上島 敬人さんのその他の記事 2026/01/14 業界コラム 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題第11話 イミュニティ検証の考え方と実際検証実験あれこれとシミュレーション 2025/11/11 業界コラム 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題 第10話 イミュニティと電磁誘導 2025/09/09 業界コラム 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題第9話 ノイズは侵入するものと考える 2025/07/08 業界コラム 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題第8話 外部ノイズはなぜ侵入するのか 2025/05/13 業界コラム 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題 第7話 自己ノイズで自滅 ? 2025/03/11 業界コラム 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題第6話 お互い様ノイズ インパルスノイズ 2025/01/15 業界コラム 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題第5話 静電気ってなに 2024/11/12 業界コラム 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題第4話 雷によるサージノイズの侵入を考える 2024/09/10 業界コラム 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題第3話 イミュニティ対策は必要か 2024/07/09 業界コラム 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題第2話 ノイズはどこから来るのか 2024/05/14 業界コラム 家電をとりまく迷惑ノイズの実際問題第1話 イミュニティの世界 2024/02/14 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第12話 (最終回) 仮説を立てる 2023/12/12 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第11話 ノイズに対峙するということ 2023/10/11 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第10話 ノイズは厄介者 ? 2023/08/08 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第9話 ノイズの第一歩 2023/06/13 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第8話 ノイズはどこからやってくるのか 2023/04/11 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第7話 ノイズはなにものなのか その2 2023/02/14 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第6話 ノイズはなにものなのか 2022/12/13 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第5話 配線は受け身ですから 2022/10/12 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第4話 配線をどう決めるのかの実際問題について 2022/08/09 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第3話 ネジと電気磁気学の意外な関係 2022/06/14 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第2話 シールドはガウス(の法則)と知り合い ? 2022/04/12 業界コラム 身近にある家電 with ノイズのストーリー第1話 配線のノイズはクーロン力で考える 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2026年1月2025年12月2025年11月2025年10月2025年9月2025年8月2025年7月2025年6月2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月