2013/03/12 業界コラム 瀧本 孝治 振動解析と診断 vol.8 ~ 振動解析診断システムの紹介(3) ~ 新川電機株式会社 瀧本 孝治 マーケティング部 ST製品企画室...もっと見る マーケティング部 ST製品企画室 実際に解析診断システムを使用する状態監視技術者や振動診断技術者等のユーザにとっては、分かりやすい操作性やグラフ展開も利用にあたっての重要な要素です。そこで、今回は最新機種であるinfiSYS RV-200における操作性と描画機能に関していくつか具体例を挙げながら説明したいと思います。 ユーザーフレンドリーな操作性と描画機能 ドラッグ&ドロップによるグラフ表示操作や、タブ選択によるグラフエリアのページ切り替えなど、直感的に操作可能 infiSYS RV-200は、各グラフに共通した分かりやすい操作性、選択したグラフのCSV形式によるデータエクスポートや画像データとしてクリップボードへの抽出など、多くの特長を有しています。これら全ての特長的な操作性や描画機能を紹介することはできませんが、以下にいくつか具体例を挙げて「ユーザフレンドリーな操作性と描画機能」に関して説明します。 ドラッグ&ドロップ機能図26に示すように、infiSYS RV-200のビューソフト画面は、デフォルトの状態では、右側に広くグラフ表示エリアがあり、左側にグラフアイコンとグラフ名称が書かれたグラフツリーがあります。グラフツリーの下が更に左右に分割されていて、その左側がデバイスツリー、右側がトレインツリーとなっています。デバイスツリーは、測定チャンネルをDAQpodやVM-7モニタなど解析するためのデータを収集している装置 → 実装ボード → チャンネルの順でツリー状に表示します。トレインツリーは、プラント → エリア → マシン → 測定点の順でツリー状に表示します。測定点の選択は、デバイスツリーとトレインツリーのいずれからでも可能ですが、マシンユーザの方にはトレインツリーからの選択の方が分かりやすいと思います。 さて、デバイスツリーかトレインツリーで選択した測定点(1点~8点まで選択可能)に対するグラフを表示する場合、図26の破線矢印のイメージで示すように、グラフツリーの任意のグラフアイコンをマウスの左クリックで掴んでグラフ表示エリアにドラッグして、任意の位置にドロップすることで、グラフを自由に配置、表示することができます。 また、既に表示されているグラフに対しては、デバイスツリーまたはトレインツリーの任意の測定点をドラッグしてグラフ上にドロップすることで、表示する測定点を変更することができます。 図26. ドラッグ&ドロップによる解析グラフの呼び出しなお、図26では、スタートアップやシャットダウン時の一連のデータを保存しているトランジェントデータの一つである「トランジェントボード線図」もグラフツリーからのドラッグ&ドロップの1回の操作でグラフが表示されているイメージとなっていますが、実際にはドロップした位置にトランジェントデータリスト(トランジェント履歴の一覧表)が表示され、その中から任意のトランジェント履歴を選択することでグラフが表示されます。 グラフ表示切替タブ機能上記のドラッグ&ドロップ機能により任意のグラフを配置したページを作成しますが、そのページのタブに任意の名称を付けることが可能であり、このような任意のグラフ配置とタブ名称をつけたページを20ページまで作成可能です。作成したグラフ表示ページは目的のタブをクリックすることで瞬時に切り替えることが可能となります。 図27に複数のグラフ表示ページを作成した例を示します。 図27. タブによるグラフ表示ページの切り替え機能このように作成したグラフ配置とタブ名称のグラフ表示ページの組合せの設定は、ウインドウメニューの「ウインドウセットの保存」として保存しておくことができ、ビューソフトを停止 / 再起動時に保存したウインドウセットの一覧表が表示され、任意のウインドウセットを呼び出すことが可能です。 また、ウインドウセットは複数保存して、一覧表の各ウインドウセットにコメントをつけることができます。更に、ウインドウセットの一覧表はビューソフトの起動時だけでなく、ビューソフト稼働中にいつでも呼び出し、現在表示されている20ページまでのグラフ表示ページの組合せから、任意のウインドウセットに切り替えることも可能ですので、20ページを超える種類のページが必要な場合、複数のウインドウセットとして事前に複数のグラフページの組合せを作っておいて、必要に応じていつでもウインドウセットから呼び出して表示させることが可能です。 タイル表示「タイル表示」とは通常のIT用語においては、複数のウィンドウが重ならないようにタイル状に並べて表示することを言いますが、infiSYS RV-200においては、一つのウインドウ上に複数の測定点のグラフを並べて表示することを「タイル表示」と呼んでいます。 上記のドラッグ&ドロップ機能のところで、測定点は1点~8点まで選択可能と述べましたが、最大8点までの複数点を選択してグラフを呼び出した場合、一つのウインドウ上に各測定点のグラフがタイル状に並べられて表示されます。図28はタイル表示の一例で、4測定点のトレンドグラフのタイル表示を示します。 図28. タイル表示(4測定点のトレンドグラフ)このタイル表示画面において、各測定点のグラフの右上にある「測定点選択ボタン」をワンクリックすることで、その測定点1点のみのグラフウインドウが新たに現れますので、特定の測定点に関してより詳細に調べることができます。 図29. 複数チャンネルの重ね描きまた、タイル表示しているウインドウ上の左上の「タイル表示ボタン」をクリックしてタイル表示をOFFにすると、図29に示すように、複数測定点のデータが一つのグラフ上に色分けして重ね描きされますので、容易にかつ正確に測定点毎のデータ比較を行うことができます。 複数パラメータの重ね描き回転数や振動振幅、位相角等の変化を時系列に示すトレンドグラフや横軸に回転数、縦軸に振動振幅を示すS-V線図では、複数のパラメータを選択して同一グラフ上に重ね描きすることが可能です。 図30にS-Vグラフにおける複数パラメータの重ね描きの例を示します。この例では、すべり軸受で支持されたモデルロータのOA(オーバーオール)振幅値、1X(回転同期成分)振幅値と0.5X(回転同期周波数の1/2周波数成分)振幅値を色分けして表示していますが、2,300rpmあたりで危険速度を超え、3,500rpm位まではほぼ1X成分のみの単純な振れ回り振動のみであることが分かります。さらに回転数が上昇した3,600rpmあたりで異常振動を発生していますが、この時、1X成分は安定しており、0.5X成分が顕著に現れていることが分かります。この例では、異常振動が一次危険速度の2倍以下の回転数で発生していることと、0.5X成分が大きく現れていることから、すべり軸受で支持された回転機械特有の自励的な不安定振動であるオイルホワール振動が発生しているものと推測できます。 図30. S-Vグラフによる複数パラメータの重ね描きの例 (オイルホワール発生時のデータ例)このように、複数のパラメータを重ね描きすることで、時間の経過とともに、または回転数の変化とともに各振動成分や位相が各々どのように変化しているか一目で分かりやすく表示することができ、対象機械の異常診断を行うための強力なツールとして使うことができます。 さて、次回もinfiSYS RV-200の特徴的な操作性に関してもう少し紹介する予定です。 本コラム関連製品 infiSYS RV-200infiSYS 3.0Kenjin この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 瀧本 孝治さんのその他の記事 2024/07/09 業界コラム 回転機械の振動と状態監視 ( その 4 ) 2024/07/02 業界コラム 回転機械の振動と状態監視 ( その 3 ) 2024/06/25 業界コラム 回転機械の振動と状態監視 ( その 2 ) 2024/06/17 業界コラム 回転機械の振動と状態監視 ( その 1 ) 2024/02/14 業界コラム 渦電流式変位センサの原理と特徴 2023/11/07 業界コラム 渦電流式変位センサの原理と特徴 2014/09/09 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(13)バランス調整 / 不釣合い修正 2014/08/05 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(12)ハイスポットとヘビースポットの位相角 2014/07/08 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(11)振動ベクトルとポーラ線図 2014/05/13 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(10)同期サンプリングにおける設定 2014/04/08 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(9)非同期サンプリングにおける設定 2014/03/11 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(8)同期サンプリングと非同期サンプリング 2014/02/12 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(7)データ収集間隔 / データ保存間隔 2014/01/14 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(6)サンプリング周波数 2013/12/10 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(5)位相基準信号(フェーズマーカ) 2013/10/08 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(4)軸振動センサのX-Y取付けでできること 2013/09/03 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(3)軸振動センサのX-Y取付け 2013/08/06 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(2)ターゲット、システムケーブル長 2013/07/09 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(1)非接触変位センサの精度に関する用語の意味 2013/06/11 業界コラム 振動解析と診断 vol.11 ~ ポータブル振動解析システムKenjin ~ 2013/05/14 業界コラム 振動解析と診断 vol.10 ~ 振動解析診断システムの紹介(5) ~ 2013/04/09 業界コラム 振動解析と診断 vol.9 ~ 振動解析診断システムの紹介(4) ~ 2013/03/12 業界コラム 振動解析と診断 vol.8 ~ 振動解析診断システムの紹介(3) ~ 2013/02/13 業界コラム 振動解析と診断 vol.7 ~ 振動解析診断システムの紹介(2) ~ 2013/01/16 業界コラム 振動解析と診断 vol.6 ~ 振動解析診断システムの紹介(1) ~ 2012/09/04 業界コラム 振動解析と診断 vol.5~ ロータキットによる異常発生時の解析事例(2)~ 2012/08/07 業界コラム 振動解析と診断 vol.4 ~ ロータキットによる異常発生時の解析事例(1)~ 2012/07/10 業界コラム 振動解析と診断 vol.3 ~ オービットとポーラ線図 ~ 2012/06/12 業界コラム 振動解析と診断 vol.2 ~ 解析グラフ ~ 2012/05/15 業界コラム 振動解析と診断 vol.1 ~ 振動解析の概要 ~ 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月