2013/02/13 業界コラム 瀧本 孝治 振動解析と診断 vol.7 ~ 振動解析診断システムの紹介(2) ~ 新川電機株式会社 瀧本 孝治 マーケティング部 ST製品企画室...もっと見る マーケティング部 ST製品企画室 前回に引き続き、今回も新川電機の回転機械振動解析診断システムinfiSYS RV-200の特長に関して紹介します。 回転機械振動解析診断システムinfiSYS RV-200の特長常設型として紹介した回転機械振動解析診断システムinfiSYS RV-200 には以下に示すような特長があります。 すべての回転速度に対応 小型回転機械(転がり軸受支持)から、大型回転機械(すべり軸受支持)まで全ての回転機械の振動解析・診断に対応 図24のシステム構成例にて説明したように、転がり軸受支持の小型回転機械に取付けられた加速度センサからの信号と、すべり軸受支持の大型回転機械に取付けられた軸振動センサから(状態監視モニタ経由)の信号を一つのシステムに取り込んで、全ての機械の振動解析診断を行うことができます。勿論、小型回転機械のみ対象のシステムまたは大型回転機械のみ対象のシステムとすることも可能です。それぞれの現場の必要性や規模に応じたシステム構成を実現できます。 図24. infiSYS RV-200の典型的なシステム構成例高速データ収集 最短データ収集間隔トレンドデータ1秒、波形データ10秒警報発生時(警報前20秒間、警報後10秒間)は、トレンドデータ収集間隔0.1秒の高速データ収集を実現 トレンドデータとは、前回も紹介した表4の中の「短期 / 長期トレンドグラフ」に示した回転数やOA振幅、1X振幅 / 位相等のトレンドグラフに表示できるデータのことで、振動波形のようなダイナミックなデータではなく、それらから演算処理して得られた回転数や振幅、位相等の量を示すもので、スタティックなデータと言うことができます。ポーラ線図、軸軌跡、X-Yグラフ、S-Vグラフ、ボード線図はトレンドデータより生成するため、これらのデータ更新間隔はトレンドデータと同様に、通常1秒間隔、警報発生時の高速データ収集期間では0.1秒間隔となります(DAQpod適用時)。 波形データとは、設定されたサンプリング周波数(非同期サンプリングでは固定値、同期サンプリングでは回転数に応じて変化する)で収集した波形そのもののデータのことで、ダイナミックなデータと言えます。波形データはデータ容量も大きく、システムとしての入力点数や周波数分析ライン数、各種保存件数制限や保存期間の設定とビューステーションのHDD記憶容量との兼ね合いで最短10秒間隔から最長10分間隔の範囲で設定することができます。スペクトル、オービット、ウォーターフォール等は波形データから生成しますので、これらのデータ更新間隔は波形グラフと同様に、10秒から10分の範囲で設定された波形データ収集間隔となります。 表4.infiSYS RV-200の主な仕様(データ表示 / 解析メニュー)多様なシステム構成 他社製を含む各種状態監視モニタとの組合せを実現 図24(infiSYSRV-200の典型的なシステム構成例)の中央に示したように、大型回転機械の状態監視モニタには通常、入力の振動波形信号をゲイン1倍のバッファアンプを介して出力する「バッファ信号」出力が付いていますが、これをデータ収集装置DAQpod(AP-2000 or DP-2000)に接続することでシステムを構成することが可能です。したがって、新川電機の状態監視モニタだけでなく、他社の状態監視モニタが設置されている振動監視システムであっても、DAQpodを使うことで振動解析診断システムを構築することができます。なお、API 670規格では、状態監視モニタのバッファ出力はモニタ前面のBNCコネクタとモニタ裏面の端子台から出力することになっています。仮設で解析機器を接続する場合は前面BNCコネクタが便利ですが、常設の場合には裏面端子台を適用することが一般的です。 また、図24の右側に示した小型回転機械のケーシング振動計測においても、DAQpodが加速度センサ駆動用の定電流電源出力を持っているため、加速度センサが一般的なIEPEタイプ(アンプ内蔵、定電流電源駆動、二線式の圧電型加速度センサ)であれば、新川電機のCAシリーズ加速度トランスデューサだけでなく、他社の加速度センサを直接DAQpodに接続することが可能です。 高度なデータ解析と多様なグラフ 国際規格「ISO 18436-2準拠 機械状態監視診断技術者(振動)資格認証制度」の認証技術者など振動解析・診断スペシャリストの高度なニーズに応えられる豊富な解析グラフを展開 表4(データ表示 / 解析メニュー)に示すように、振動診断技術者が解析診断の際に必要とする豊富な解析グラフを展開することができます。大型回転機械の解析診断においては、一つの測定箇所(ベアリング近傍)に90度離して2個の軸振動センサを設置する、いわゆるX-Y取付けの軸振動センサからの信号と、位相基準センサ(フェーズマーカ)からの1回転あたり1パルスの位相基準信号を取り込むことで、フルスペクトル等のオプションを含めた表4の全ての解析グラフを展開することができます。(ただし、トレンドグラフの転がり軸受専用のΣ8X以上、IR、OR、BSは含まない) また、小型回転機械においては、測定箇所の転がり軸受の情報を設定することで、内輪傷の特徴周波数成分IR(インナーレース)、外輪傷の特徴周波数成分OR(アウターレース)、転動体傷の特徴周波数成分BS(ボールスピン)の振幅値を演算してトレンドグラフとして表示することができます。 ユーザーフレンドリーな操作性と描画機能 ドラッグ&ドロップによるグラフ表示操作や、タブ選択によるグラフエリアのページ切り替えなど、直感的に操作可能 近年データ処理デバイスやPCの高速化、高性能化に伴い、解析診断システムの機能の高度化も進んできていますが、実際に解析診断システムを使用する状態監視技術者や振動診断技術者等のユーザにとっては、分かりやすい操作性やグラフ展開も利用にあたっての重要な要素であると思います。この点で、infiSYS RV-200はRV-100等の従来のシステムに比べて大幅に改善されていて、感覚的で憶えやすい操作性と分かりやすい描画機能を実現しています。 そこで、次回は最新機種であるinfiSYS RV-200における操作性と描画機能に関していくつか具体例を挙げながら説明したいと思います。 本コラム関連製品 infiSYS RV-200infiSYS 3.0Kenjin この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 新川電機株式会社 瀧本 孝治さんのその他の記事 2024/07/09 業界コラム 回転機械の振動と状態監視 ( その 4 ) 2024/07/02 業界コラム 回転機械の振動と状態監視 ( その 3 ) 2024/06/25 業界コラム 回転機械の振動と状態監視 ( その 2 ) 2024/06/17 業界コラム 回転機械の振動と状態監視 ( その 1 ) 2024/02/14 業界コラム 渦電流式変位センサの原理と特徴 2023/11/07 業界コラム 渦電流式変位センサの原理と特徴 2014/09/09 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(13)バランス調整 / 不釣合い修正 2014/08/05 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(12)ハイスポットとヘビースポットの位相角 2014/07/08 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(11)振動ベクトルとポーラ線図 2014/05/13 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(10)同期サンプリングにおける設定 2014/04/08 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(9)非同期サンプリングにおける設定 2014/03/11 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(8)同期サンプリングと非同期サンプリング 2014/02/12 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(7)データ収集間隔 / データ保存間隔 2014/01/14 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(6)サンプリング周波数 2013/12/10 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(5)位相基準信号(フェーズマーカ) 2013/10/08 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(4)軸振動センサのX-Y取付けでできること 2013/09/03 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(3)軸振動センサのX-Y取付け 2013/08/06 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(2)ターゲット、システムケーブル長 2013/07/09 業界コラム 分かりにくい用語とその意味(1)非接触変位センサの精度に関する用語の意味 2013/06/11 業界コラム 振動解析と診断 vol.11 ~ ポータブル振動解析システムKenjin ~ 2013/05/14 業界コラム 振動解析と診断 vol.10 ~ 振動解析診断システムの紹介(5) ~ 2013/04/09 業界コラム 振動解析と診断 vol.9 ~ 振動解析診断システムの紹介(4) ~ 2013/03/12 業界コラム 振動解析と診断 vol.8 ~ 振動解析診断システムの紹介(3) ~ 2013/02/13 業界コラム 振動解析と診断 vol.7 ~ 振動解析診断システムの紹介(2) ~ 2013/01/16 業界コラム 振動解析と診断 vol.6 ~ 振動解析診断システムの紹介(1) ~ 2012/09/04 業界コラム 振動解析と診断 vol.5~ ロータキットによる異常発生時の解析事例(2)~ 2012/08/07 業界コラム 振動解析と診断 vol.4 ~ ロータキットによる異常発生時の解析事例(1)~ 2012/07/10 業界コラム 振動解析と診断 vol.3 ~ オービットとポーラ線図 ~ 2012/06/12 業界コラム 振動解析と診断 vol.2 ~ 解析グラフ ~ 2012/05/15 業界コラム 振動解析と診断 vol.1 ~ 振動解析の概要 ~ 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月