2010/06/08 業界コラム 金子 成彦 産業の教育と現場から No.7 若手人材育成を意識した同窓会の活用法 東京大学名誉教授・元早稲田大学教授 金子 成彦 1972年 山口県立山口高等学校理数科1期卒 ...もっと見る 1972年 山口県立山口高等学校理数科1期卒 1976年 東京大学工学部機械工学科卒 1978年 東京大学大学院工学系研究科舶用機械工学科修士課程修了 1981年 東京大学大学院工学系研究科舶用機械工学科博士課程修了(工学博士) 同年 東京大学工学部舶用機械工学科講師 1982年 東京大学工学部舶用機械工学科助教授 1985年-1986年 マギル大学機械工学科客員助教授 1990年 東京大学工学部附属総合試験所機械方面研究室助教授 1993年 東京大学工学部舶用機械工学科助教授 1995年 東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻助教授 2003年 東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻教授 2018年 早稲田大学理工学術院創造理工学部客員教授 2019年 早稲田大学理工学術院国際理工学センター教授 2019年 東京大学名誉教授 2019年 日本機械学会名誉員 2020年 自動車技術会名誉会員 5月は、同窓会のシーズンである。東大機械系では同窓会総会を五月祭に合わせて5月の最終週に開催することにしている。ただし、大学全体としては赤門学友会という組織があり、11月中旬に「ホームカミングデイ」という名称の催しを開催しているため、次年度からは、こちらに合わせて東大機械系同窓会総会を秋に移す予定である。 同窓会シーズン同窓会といっても幾つかの形態があり、大学全体(注1)、学科(注2)のもの以外にも、研究室の同窓会や同期会もあり、規模の大きい同窓会ではホームページやメルマガを通じて集会事業に関する情報を発信している。 (注1)赤門学友会、(注2)東大機械系同窓会 エンジニア人生の秋と冬先日、昭和32年卒の機械科卒業生の方が同期会終了後、4月から2度目の学科主任を仰せつかった小生のところに同窓生の近況を綴った文集を持ってこられた。文集の執筆者は、高度成長期の日本を支えてこられた76から80歳までのいわゆる後期高齢者の仲間に最近入られた方々で、かつて小生が講義や卒論でお世話になった先生方、エンジニアとして活躍された方、リタイヤ後趣味の世界で玄人はだしになっておられる方、闘病中の方など‥‥多彩である。人生に春夏秋冬があるとすると、エンジニア人生の秋と冬の部分を垣間見せていただく思いがした。家族の大切さ、健康の大切さを説く方が多いが、中には夏真っ盛りという人も含まれていて、幅の広さに驚かされた。このような情報は、教員、若手研究者や学生が人生設計に思いを馳せる時の参考になると思い、図書室で閲覧できるよう手続きを取った。 日本の高度成長を支えてきた自負を語る人 失敗が許された環境で機械屋としては、幸せな人生だったと語りかけている人 会社の利益中心の視点ではない人材育成が必要と説く人 自身が携わってきた研究開発分野の現状と将来を心配する人 知識中心のウィキペディアに対抗して、考え方を中心に据えるべきと説く人 ブログやツイッターにはまっている人 若者との交流を大切にしている人 がいらっしゃることが目に付いた。 人生を生きるスキルや考え方さて、今大学で学ぶ学生諸君の様子を見ていると、気の合った仲間で動いているケースが多く、同窓会のように取り纏める集団の規模が大きくなるとお世話役がなかなか現れてこないことが悩みである。キーパーソン不在の学年では、同期会も開かれてなくて、これは学科全体で開かれる同窓会総会に参加する中堅、若手の数が少ないことにも繋がっている。OBとの接点は、就職活動の際の若手OB訪問や研究室に訪れるOBを通じてのものが大半である。したがって、「就職」という2文字が脳裏から離れない状態での付き合いであり、OBもエンジニアの人生設計までを語ってくれているとは考えにくい。また、就職活動にあたり、キャリアデザインの書籍を読んでいる学生はいるが、その本に書かれている内容は通り一遍のものである。 そこで思いついたのが、同窓生の近況を綴った文集の活用による「人生を生きるスキルや考え方」の若手への伝承である。最近、技術伝承の必要性が語られることは多いが、エンジニアの生き様についての情報伝承の重要性はあまり聞いた事がない。同窓生の近況を綴った文集が、卒業年次毎に揃っていると、同じ分野に進む若手にとっては下手なキャリアデザインの書物よりもリッチな情報を含むものになると思われる。 同窓会は仲間内での楽しい思い出や身近に起きた出来事に関する情報交換の場であるが、今を生きる若手に人生設計に関するアドバイスを授ける機能についても考え始める時期に来ていると思う。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 東京大学名誉教授・元早稲田大学教授 金子 成彦さんのその他の記事 2025/01/15 業界コラム 人生の低山を歩く 2024/01/10 業界コラム あんたぁ先頭 ! 2023/01/11 業界コラム トランジェントな時代を生きる ( 4 ) 2022/01/12 業界コラム トランジェントな時代を生きる ( 3 ) 2021/01/12 業界コラム トランジェントな時代を生きる ( 2 ) 2020/01/08 業界コラム トランジェントな時代を生きる 2019/01/09 業界コラム 大学が変わるべきところ守るべきもの冬休み小旅行(ハウステンボス・湯田温泉編) 2018/01/10 業界コラム 大学が変わるべきところ守るべきもの冬休みの小旅行(京都・尾道編) 2017/02/07 業界コラム 大学が変わるべきところ守るべきもの(研究環境の来し方行く末) 2017/01/11 業界コラム 大学が変わるべきところ守るべきもの(冬休み小旅行編) 2016/02/09 業界コラム 大学が変わるべきところ守るべきもの(立春編) 2016/01/13 業界コラム 大学が変わるべきところ守るべきもの(初詣編) 2013/08/03 業界コラム 日本機械学会会長の経験を通じて (その3) 日英文化交流活動 2013/07/09 業界コラム 日本機械学会会長の経験を通じて (その2) アジア圏との国際交流活動 2013/06/11 業界コラム 日本機械学会会長の経験を通じて (その1) 東日本大震災対応 2010/11/09 業界コラム 産業と教育の現場から No.12 未来の研究開発リーダーに贈るメッセージ ~これからの学会との付き合い方~ 2010/10/05 業界コラム 産業の教育と現場から No.11 タフな学生を育てるためのコンテストの活用法 2010/09/07 業界コラム 産業の教育と現場から No.10 学部4年生のためのもう一つの発表会 2010/08/03 業界コラム 産業の教育と現場から No.9 留学生の慶事 2010/07/07 業界コラム 産業の教育と現場から No.8 産学官連携功労者表彰を通じて学んだもの 2010/06/08 業界コラム 産業の教育と現場から No.7 若手人材育成を意識した同窓会の活用法 2010/05/12 業界コラム 産業の教育と現場から No.6ホロニックエネルギーシステムの実現に向けて 2010/04/06 業界コラム 産業の教育と現場から No.5PBL教育を通じて日本のガラパゴス化を阻止しよう! 2010/03/02 業界コラム 産業の教育と現場から No.4 ゆとり世代ついに研究室に現る ! 2010/02/09 業界コラム 産業の教育と現場から No.3 就活学生に贈るメッセージ~エネルギー作物栽培の体験から~ 2010/01/13 業界コラム 産業の教育と現場から No.2 手料理コンパと工学教育 2009/12/01 業界コラム 産業の教育と現場から No.1メンテナンスの現場から学ぶべきもの 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月