2016/01/13 業界コラム 熊谷 卓 2 巧妙性実現の手段群(10) 株式会社 新興技術研究所 取締役会長 熊谷 卓 1955年03月 東京大学工学部精密工学科卒業...もっと見る 1955年03月 東京大学工学部精密工学科卒業 1955年04月 マミヤ光機株式会社入社 1962年11月 技術士国家試験合格・機械部門技術士登録 1963年03月 株式会社 新興技術研究所設立 代表取締役就任、現在 同社取締役会長(業務内容:自動組立機をはじめ各種自動化設備機器等の開発・製作・技術指導) 【歴任】 米国・欧州自動化技術視察団コーディネータ 8 回 自動化推進協会 理事・副会長 精密工学会 自動組立専門委員会 常任幹事 日本技術士会 理事・機械部会長 中小企業大学校講師 日本産業用ロボット工業会 各種委員 神奈川大学講師 自動化推進協会理事 高度職業能力開発促進センター講師 等を歴任 【業績】 著書 自動化機構300選(日刊工業新聞社)、メカトロニクス技術認定試験教本(工業調査会)ほか多数 講演 アジア生産性機構講演で自動化システムを W・T・MACS で表示・解析を提示(世界初)ほか多数 論文 自動化システムのデバッギング理論「チェック機構と最適稼働率」が欧州年間論文大賞にノミネイトほか多数 発明 メカトロニクス技術実習モジュールの発明、地震予知システム「逆ラジオ」の発明ほか多数 株式会社新興技術研究所 熊谷会長様のご好意による「生産性向上とメカトロニクス技術講座」の 13 回目です。前号に引き続き「W・T・MACS の他の要素群」から「コントローラとインターフェイス」を紹介します。 2-3 W・T・MACS の他の要素群 [ C ]コントローラとインターフェイス「オン・オフ型」と「数量型」今回は、W・T・MACS の (C)コントローラ(図 1-14 自動化の要素参照)について述べます。 コントローラは信号を入力として情報処理操作を行い、その結果に応じてアクチュエータに駆動命令を出すものです。 当然考えられることは、等速型アクチュエータに出す命令はオン・オフだけですが、可変速型のアクチュエータには、速度や出力を指定する方式の命令が必要です。たとえば速度を速めようとしたら、出力電圧を上げるとか流体の流量を増やすとかしなければなりません。 従って単純なオン・オフ出力ではなく、数量型の出力が必要となります。 最近は多くの可変速度アクチュエータが数値制御式になってきていますが、可変速アクチュエータのすべてが数値型だけとは限りません。特に前節のサーボモータなどは、現在では殆ど数値制御式のコントローラを用いていますが、本来は電流の量の制御によるものなのです。また、油圧シリンダに与える油の流量の制御も必要なことがあります。 つまり「数」と「量」のいずれかを制御する必要があるのでコントローラの出力を「オン・オフ型」と「数量型」とに分類します。 インターフェイスの必要性ところで図 1-17(a)で、入力に「信号」とあるのを見てください。「電気信号」とは書いてないのです。 空気圧信号でも磁気信号でもいいのです。 また電気信号でもリミットスイッチやリレーなどの接点の振動で、多数回の高速オンオフ信号(チャタリングと言います)に見えたりすることもあります。 しかし、最近のコントローラでの情報処理はコンピュータをはじめとして電子回路(エレクトロニカル・サーキット)によるものが最も便利になっているので、その手法で操作できるように入力信号の形を整えなければなりません。もちろん後述するように電子回路に限ったとは言えませんが、どの方式を用いるにせよ入力信号という情報を、それを処理するのに適した形に整えるための準備動作部分が必要で、これを「入力側インターフェイス」と呼びます。 図 1-17(a) W・T・MACS の要素分類次に、入力インターフェイス経由でコントローラが受けた信号をソフトウエアが情報処理して、たとえば「玄関に人が来た」ことを認識し、ドアを開けるモータに駆動命令を与えるとします。 ところが、最近の情報処理装置の中ではごく微弱な電流量で超高速の処理を行っているので、情報処理を終えたばかりの出力信号のエネルギは極めて微小です。 情報処理のエネルギが最近どんどん小さくなってきた理由は、往年の情報処理技術者が「情報が情報として成り立つためには、情報の持つエネルギ量は無関係である」ということに気が付いたからかもしれません。 会議室のホワイトボード一杯に「モータ駆動」と書いても、達人が小さな米粒に「モータ駆動」と書いても「モータ駆動」と読める限りは全く同じ情報です。 しかも処理速度を上げるためにパルスの時間幅を最小限にしてきたので、情報処理装置内の情報エネルギは極度に小さくなっていて、外部の電波などによっても誤動作してしまうような可能性がでています。 われわれ機械を駆動する者から見れば、少し省エネにし過ぎて信頼性があやしくなっていると考えてもおかしくありません。 例えば心臓の動悸を整えるペースメーカなどの場合は埋め込んだ電池をできるだけ長持ちさせるためにぎりぎりの省エネ回路が必要です。そのため体内の配線がアンテナ効果で外部の電波を受けて起電力が発生すると、誤動作の恐れがあることは当然ですが、これは省エネにし過ぎたとは言えないでしょう。 さてそのような微少エネルギでは、例えば数 10 ワットの入力を必要とするモータを駆動することなどできないので、その出力信号を増幅しなければなりません。これが「出力側インターフェイス」です。 結局、図 2-26 のようにコントローラの入力側・出力側の両側にインターフェイスが必要となります。 図 2-25 は、その実際の回路の例を示します。 図 2-25 I/O ボードとインターフェイス回路の例 出典:実践 自動化機構図解集 (日刊工業新聞社) P48図 2-26 コントローラにはインターフェイスが必要:図 1-17(a)に追加次回は、制御回路の構成・1 類、2 類、3 類について説明します。 メカトロニクス基礎実習 サンプルビデオ紹介メカトロニクスの基礎から、高度な機構図解集、各種制御学習まで、テキスト教材が豊富に揃っています。 ご要望に合わせて、経験豊富な講師を派遣しており、社内で研修することができます。 教える講師がいなくても実習ができるように、カリキュラム形式の映像教材をご用意され、1回の実習が 30分 ~ 1時間以内になるように設定していますので、終業後などの時間を有効活用できます。 メカトロニクス技術認定試験は、特定非営利活動法人自動化推進協会が運営している、メカトロニクスの世界標準となる試験です。 株式会社新興技術研究所 熊谷 卓 による「生産性向上とメカトロニクス技術講座」は、クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 2.1 ライセンスの下に提供されています。 Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 2.1 Japan License この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 株式会社 新興技術研究所 取締役会長 熊谷 卓さんのその他の記事 2018/06/05 業界コラム 5 これから面白くなる自動化の考え方・第 4 世代のシステムへ(6) 2018/05/09 業界コラム フィードバックシステムの巧妙性実現からその先へ(その1) 2018/04/03 業界コラム 文学的表現から工学的表現にしてシステムを構築 2018/03/06 業界コラム 真の巧妙性を駆使するベテラン作業員の説明 2018/02/06 業界コラム 第 4 世代のシステムの実例 2018/01/10 業界コラム ベテラン作業員の頭の中はカム曲線の集合か? 2017/12/05 業界コラム 4 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(7) 2017/11/07 業界コラム 4 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(6) 2017/10/03 業界コラム 4 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(5) 2017/09/05 業界コラム 4 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(4) 2017/08/01 業界コラム 4 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(3) 2017/07/04 業界コラム 4 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(2) 2017/06/06 業界コラム 4 フレキシビリティが面白いインフォメーションカム(1) 2017/05/10 業界コラム 3 生産性向上の 4 手法(5) 2017/04/04 業界コラム 3 生産性向上の 4 手法(4) 2017/03/07 業界コラム 3 生産性向上の 4 手法(3) 2017/02/07 業界コラム 3 生産性向上の 4 手法(2) 2017/01/11 業界コラム 3 生産性向上の 4 手法(1) 2016/12/06 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(21) 2016/11/08 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(20) 2016/10/04 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(19) 2016/09/06 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(18) 2016/08/02 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(17) 2016/07/05 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(16) 2016/06/07 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(15) 2016/05/11 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(14) 2016/04/05 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(13) 2016/03/08 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(12) 2016/02/09 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(11) 2016/01/13 業界コラム 2 巧妙性実現の手段群(10) 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月