2020/05/12 業界コラム 堀田 智哉 軸受の基本(2) 関東学院大学 理工学部 准教授 堀田 智哉 2017/3 博士(工学) 東京理科大学...もっと見る 2017/3 博士(工学) 東京理科大学 2017/4‐2020/3 関東学院大学理工学部助教 2020/4-2023/3 関東学院大学理工学部講師 2023/4 関東学院大学理工学部准教授 [専門分野] 転がり軸受工学、機械要素・機械設計、トライボロジー、材料工学 コラム執筆にあたって 転がり軸受(ベアリング:Bearing)は、さまざまな機械に使用される重要な機械要素ですので、機械系の技術者であれば、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。しかしながら、転がり軸受については大学などで教えることは、ほとんどありません。本連載では、そんな転がり軸受の基本について解説していきます。 第2回目となる今回は、転がり軸受の呼び番号について解説します。 呼び番号 転がり軸受は、形式や各部の寸法が国際的に標準化されています。そのため、軸受に与えられている固有番号さえ合っていれば、少なくとも軸受の形式と外部形状寸法は同じですので、特殊なものを除いて他のメーカーのものであっても互換性があります。この固有番号は呼び番号と呼ばれ、基本番号と補助記号から構成されています。この呼び番号から軸受の形式・主要寸法・回転精度・内部すきまなどが識別できます。図1に一例を示します。この呼び番号は、パッケージに記載されています。また、軸受本体にも基本番号と密封装置記号程度であれば刻印がされています。 図1 軸受の呼び番号基本番号 基本番号は軸受形式記号・直系系列記号・内径番号・接触角記号の三つで構成されています。一部例外もありますが、基本的に軸受形式記号は次のように軸受形式を示しています。 軸受形式記号 0:複列アンギュラ玉軸受 1:自動調心玉軸受 2:自動調心ころ軸受(球面ころ軸受) 3:円すいころ軸受 4:複列深溝玉軸受 5:スラスト玉軸受 6:単列深溝玉軸受 7:単列アンギュラ玉軸受 8:スラスト円筒ころ軸受 N:円筒ころ軸受 NA:ニードルころ軸受 QJ:4点接触玉軸受 寸法系列記号は軸受の外径や幅を示します。7/8/9/0/1/2/3/4の順に軸受の外径や幅が大きくなります。つまり、軸受の許容荷重や剛性が大きくなります(許容回転数は下がります)。 内径番号は軸受の内径を示します。これは少し複雑で、数字の前に“/(スラッシュ)”がついていれば、その後ろの数字がそのまま内径になります。また、1~9の場合もそのままです。00~03は表1にしたがっています。04以降は数字を5倍してください。 表1 内径番号(00~03) 内径番号 内径 00 10 01 12 02 15 03 17 たとえば・・・ 69/22 内径22 mm 695 内径5 mm 6901 内径12 mm 6906 内径30 mm となります。 さらに、アンギュラ玉軸受や円すいころ軸受などの場合は、接触角記号がつきます。接触角記号は、表2に示すとおり、軸受の形式によって意味が異なりますので、軸受形式番号を見て判断してください。なお、円すいころ軸受の接触角Bやアンギュラ玉軸受の接触角Aの場合は、基本的に接触角記号が省略されます。基本的に、接触角を大きくするほど許容できるアキシアル荷重は大きくなりますが、高速回転には不利になります。 表2 接触角記号の意味 (a) 円すいころ軸受(軸受形式記号:3) 接触角記号 接触角 (B) 接触角10°を超え17°以下 C 接触角17°を超え24°以下 D 接触角24°を超え32°以下 (b) アンギュラ玉軸受(軸受形式記号:7) 接触角記号 接触角 (A) 30° B 40° C 15° 補助記号 補助記号は、基本番号の前につく接頭補助記号と、後ろにつく接尾補助記号よりなります。接頭補助記号は特殊な用途・材料・熱処理などの場合につけられます。また、接尾補助記号は密封装置(シール・シールド)や内部の仕様、さらに封入されているグリース種類や量を示しています。これらの補助記号はメーカーが個々に定めていますので、メーカーの軸受寸法表などを参考にするか、販売代理店などに問い合わせるとよいでしょう。 次回は、転がり軸受の材料について解説します。 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする 関東学院大学 理工学部 准教授 堀田 智哉さんのその他の記事 2024/12/10 業界コラム 軸受の摩擦・潤滑 ( 2 ) 2024/10/08 業界コラム 軸受の摩擦・潤滑 (1) 2024/01/10 業界コラム 軸受の振動 ( 5 ) 2023/11/14 業界コラム 軸受の振動 ( 4 ) 2023/09/12 業界コラム 軸受の振動 ( 3 ) 2023/07/11 業界コラム 軸受の振動 ( 2 ) 2023/05/09 業界コラム 軸受の振動 ( 1 ) 2023/01/11 業界コラム 軸受の選定 ( 5 ) 2022/11/08 業界コラム 軸受の選定 ( 4 ) 2022/09/13 業界コラム 軸受の選定 ( 3 ) 2022/07/12 業界コラム 軸受の選定 ( 2 ) 2022/05/11 業界コラム 軸受の選定 ( 1 ) 2021/12/14 業界コラム 軸受の取扱い ( 5 ) 2021/10/12 業界コラム 軸受の取扱い ( 4 ) 2021/08/17 業界コラム 軸受の取扱い ( 3 ) 2021/06/04 業界コラム 軸受の取扱い ( 2 ) 2021/04/12 業界コラム 軸受の取扱い ( 1 ) 2020/08/04 業界コラム 軸受の基本(5) 2020/07/07 業界コラム 軸受の基本(4) 2020/06/02 業界コラム 軸受の基本(3) 2020/05/12 業界コラム 軸受の基本(2) 2020/04/07 業界コラム 軸受の基本(1) 2019/10/01 業界コラム 軸受の寿命と振動(2) 2019/09/03 業界コラム 軸受の寿命と振動(1) 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月