2017/11/07 業界コラム 杉田 美保子 スペインには無い日本の魅力 No.4 スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子 スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。 石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。 京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。 スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。 22 歳まで日本で過ごし、それから 49 歳までスペインで過ごし、なんてことを単純に計算すると、人生の半分以上をスペインで過ごしたことになります。そして、あと数年で日本滞在の方が長くなってしまうのでしょう。筆者にとっては、人生の半分をスペインで過ごしたからといって、スペイン人にはなれなかったし、かと言って「日本人かな?」と考えるとお茶もお花も、着物も着ることのできない、中途半端な人間に出来上がったので、自分の位置付けに困る時があります。まだまだこれから先、何十年もあるのだから、奮起して色々なことを学ぶ、というのもこれからの目標なので、「スペインに行ってフラメンコを習ってみる」、「着付け教室に行ってみる」、など楽しみはまだまだたくさん残っています。 お誕生日だったのね? ごめん、気づかなかった!ところ変れど、お誕生ケーキのろうそくは、吹き消すのだしかし、それってどう映るものなんでしょうね? 外国帰りのちょっと風変わりな人、なんでしょうかね? 最近、中学、高校、大学、そして果ては小学校の同窓生たちと集う機会が増えてきました。日本で生まれて、日本で育ったのだから、普通ですよね。そして同窓生たちからたまに聞くのが、「そういえば、杉田っておもろかったな、昔から」というコメント。そうか、もともとちょっと変わっていたのかな? それが、スペインに行って増大したのかな? そんなことを考えるようになりました。 それぞれの年がバレないような、粋な計らい11 月になると、文化の日、というのがあります。 特に「文化」と言わなくても、日本には生活のいたるところに日本文化が見られ、なぜ、この日を文化の日にしたんだろう、と思います。大学時代の 11 月も学園祭の季節で、筆者の誕生日は毎年、その振替休日となっていました。ですので、「うちで誕生日会するよ」と友達を集めてパーティーをしたものです。 こんな風に誕生会をしちゃうから、多分、大学時代は近しい友達みんなが私の誕生日を知っていて、でも今のようにインターネットもラインも SNS もなかったので、バースデーメッセージは現代のように、いたるところに出てくることもありませんでしたね。「お誕生日おめでとう」という一言の重みが、当時と今とでは違っているかもしれない、と思うのは、酷なのでしょうか? そして、「ねえねえ、もうすぐ〇〇君の誕生日だね。みんなで何かプレゼントする?」という類の会話も、若い時にはしていたような気がします。これが、日本の細やかな心遣いだな、と思っていて、今日のテーマです。 バルセロナ時代は、フリーランスとして、そして会社員として、自宅での仕事以外に職場がたくさんあり、たくさんの方々とお知り合いになりました。その先々で日本とはちょっと違った風習を見て、最近真似ているのが、「今日は私の誕生日だよ」というアナウンス以外に、ちょっとしたお菓子などでおもてなしをする、という風習です。 お誕生日だからみんなに「祝ってもらうのが当たり前」という、小さい頃からのコンセプトが覆され、「お誕生日だから、みんな、祝福してね。これ、食べてね」というのが、同僚や友人たちとの誕生日の過ごし方なんだ、という考え方に感化されたことです。 よく午前中に食べるサンドイッチ。 ボカディージョといい、バゲットで作るお誕生日当日は、パン屋さんで甘い系、しょっぱい系のミニクロワッサンやクッキー、チョコレートボンボンなどをトレーに詰めて包装してもらい、もう一方の手には「カヴァ(Cava)」と呼ばれる発泡性ワイン(シャンパンと思っていただければ大丈夫です)を何本か持ち、出勤です。時間があるときにはもちろん手作りで、カナッペや、細巻きを持って行ったこともありました。 スペイン人にとって「スシ」はエキゾチックなもので、大抵どのパーティーに持参しても喜ばれます。 スペインの勤務体制には、「10 時と 3 時のお茶」に似たような「朝食の時間」があり、だいたい 10 時半ぐらいに 20 分ほどの休憩を入れ、それぞれが家から持参するサンドイッチ(ボカディージョ Bocadillo)を食べます。このためスペインの昼食開始時間が 13:30~14:00 と遅めでも頑張れるのです。ですので、その時間を見計らって、「は~い、みなさん、どうぞ。今日は私の誕生日なのです」と持参したものを広げます。朝の 10 時半にカヴァ? もちろん! 乾杯するんだから、皆さんどうぞ、どうぞ。これ、日本で同じことをしたら、怒られちゃうでしょうね。こういう日は、休み時間がちょっと伸び、それでも「めでたい日だからね。Feliz cumpleaños, Mihoko(フェリス・クンプレアーニョス=お誕生日おめでとう)」となるのです。 大誕生会は郊外で行われることが多い。駐車場も広々つまり、大学時代は、前もって「誕生日だからパーティーしよう」=「友達に気を遣わせちゃってプレゼントをいただいていた」という形式のものを、当日に「今日は誕生日だから、みんなでこれを食べましょう、飲みましょう」というスペイン風サプライズ系に変えたのです。 11 月に誕生日の友達が、とある仲良しグループ内に 3 人いますが、この 20 人以上のグループでは、誕生日だから集まる、というよりも、忙しい日々だからせめて「誕生日」を理由にして集まりましょう、というコンセプトでパーティーが開かれます。 食べ物・飲み物は誕生日の人が用意をし、デザートは、デザートの得意な人が用意してくれ、プレゼントは誕生日の人それぞれに一つずつ、みんなで頭割りする、というのもこのグループの暗黙の了解です。「プレゼントに、何か欲しいものはない?」という質問も大有りで、こうやって友達に甘えて欲しいものをおねだりできる、というのもこのグループの特色です。 友人の節目の誕生日には、 サプライズのパーティーで、本人は感動で涙!また、40、50、60 など(日本では 60 歳から還暦をお祝いしますが)、そういうお誕生日には家族や親しい友達などで盛大なパーティーをする、というのも習わしです。 お祝いスタイルはレストランでの食事であったり、友達を呼んでのパーティーであったり。2009 年には「スコーピオンパーティー」と称し、4 人の誕生日の人、総勢 60 人以上でホームパーティーをしたこともあります。 そういう観点で行くと、日本人はきちんとお誕生日を手帳につけていて(もちろん、スペイン人の友達にも細やかな人がいるので、ご安心を!)、お誕生カードを送ったり、はたまたサプライズでプレゼントが届いたり。それに奥ゆかしさを感じるのは私がオープンな人間だからかしら? ということで、だいたいお友達の誕生日はチェックしているのですが、「お誕生日だったのね? ごめん、気づかなかった…」ということも多々あります。お祝いされるのを待つのも奥ゆかしくて好きなんだけれど、「ねえねえ、祝って!」という、ちっちゃな自己主張もたまには楽しいかな、というお話でした。 Qué cumplas muchos años más もっと年を重ねて行ってね、というお祝いの言葉 (ケ・クンプラス・ムーチョス・アーニョス・マス) 総勢 60 人ともなると、みんな前日からせっせと料理をする。旬のキノコも到着特別あつらえのTシャツでお出迎え!パーティー会場で直に焼かれる腸詰類。熱々でお祝いだ この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子さんのその他の記事 2025/01/15 業界コラム スペインの知られざる文化 No.73 (最終回) 2024/12/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.72 2024/11/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.71 2024/10/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.70 2024/09/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.69 2024/08/07 業界コラム スペインの知られざる文化 No.68 2024/07/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.67 2024/06/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.66 2024/05/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.18 2024/04/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.17 2024/03/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.16 2024/01/10 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.15 2023/12/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.14 2023/11/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.13 2023/10/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.65 2023/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.64 2023/07/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.12 2023/06/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.63 2023/05/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.11 2023/04/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.10 2023/03/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.9 2023/02/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.8 2023/01/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.7 2022/12/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.62 2022/11/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.61 2022/10/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.60 2022/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.59 2022/08/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.58 2022/07/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.6 2022/06/14 業界コラム スペインの知られざる文化 No. 57 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月