スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。
石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

三寒四温という言葉通りの3月を過ごし、だんだん暖房からは遠のき、冬じまいをしているともう春爛漫。この季節感は、日本にしかないものでしょうね。もちろんバルセロナにも四季はありますが、春、秋は主役級ではなく、夏と冬、それも冬は極寒になる時期が2週間ほど、と、気温だけを見ると、日本より極端です。そんな季節感を満喫したライアの旅、ネコちゃん (スペイン語ではgato [単数形、男性名詞] 、ガト、と発音します) を追いかけた様子をご紹介です。

万国共通 ! 大好きなネコちゃん !

スペインの物価高は、特にバルセロナやマドリードといった都会では顕著で、ここ近年、賃貸のアパートから、中古物件購入へと移行した人がたくさんいます。筆者がバルセロナに居住していた時の賃貸料では、今やアパートを探すことができなくなり、ざっと聞いて見ると当時の二倍には跳ね上がっていると思われます。こんなに高額な賃貸料を何十年と払うぐらいなら、ローンを組んで物件を購入し、ゆくゆくは子孫に残そう、というのも、万国共通のようですね。

そんなライアたちも、2年前からそんな生活を送り始めました。飼っている猫ちゃんにとって、テラスのあるおうちは快適で、日向ぼっこしながらゴロゴロ、なんとも羨ましい暮らしを始めました。ただ、今回の1ヶ月の旅行で愛猫に会えなくなるのはかなり辛く、その反動で日本でもネコちゃん探しの散歩を続けたのです。

日本に住んでいながら、こんな所があるなんて、私には知らないことだらけなので、今回の旅の説明にはかなりな不備が生じますが、お許しくださいませ。バルセロナのライアが訪れる、というのは、世界的にもとても有名な所なのでしょうね。

ジャパンレールパスを駆使すると、日本中どこでもJRで移動できる、ということで、なんとも羨ましい限りの非日本人たち ! そのパスも、1週間、2週間、3週間と選択でき、「え、3週間も休暇 ? 」という「ダブル羨ましい」な訳です。その恩恵を見事に享受し、ライアは貴志駅にもいったわけです。「たま駅長」に会いに !

何しろ全てが嬉しいライア。駅長さんにも会えたけれど、お昼寝中

スペインでも、犬や猫を家族に迎え入れている人はかなりたくさんいて、動物にはかなり寛容です。日本だと、小型犬が主流でだいたいお家の中で育てている方が多いようですが、スペインでは大型犬もアパート暮らしだったりします。特に「ペット不可」という物件も聞いたことがなく、かなりの割合で動物と同居というご家庭があるのです。 (スペインのワンちゃん事情、詳しくは2019年2月号で。)

実際にお家でネコちゃんを飼っている友人たちの家に行くと、私もその可愛さについシャッターを押してしまう1人。籐の椅子に座るのはカルロタの「ミシュ」。ストーブ前でくつろぐのは、近所の友人宅の「まめ」と「ラム」。くつろぐ姿も万国共通ですよね。癒されます。

「ミシュ」は、ベランダの椅子でゴロゴロ。「まめ」と「ラム」は、ストーブの前でゴロゴロ。いずれも友人たちのネコちゃん

そして、ライアのRegalizちゃん (レガリス、カンゾウ (甘草) の意味) 。レガリスとは、日本で例えると「グミ」系の食感であったり、仁丹系の乾燥した小粒状であったり、はたまたカンゾウの乾燥した根っこ状であったり、巷に出回っている、薬草系の嗜好品のことを指します。仁丹系の小粒サイズのものは、真っ黒で、その色にちなんでネコちゃんに名前がつけられました。日本では、真っ黒なネコちゃんにどんな名前をつけるでしょうか ? 例えば、ブラックコーヒーを連想して、カフェ、とかでしょうか ? 黒い墨を連想して、ボクジュウとか ? 「ネコちゃんにそんな名前はつけないヨォ」と言う声も聞こえてきそうですが、そんな感じです。

引越し前には、窓の側で外を眺めたものでした。彼女たちの住んでいたアパートはエレベーターで上階に、7階か8階だったでしょうか ? リビングの窓には、20センチぐらいの幅の窓手すりがついていて、小さな植木鉢などを置くには十分でしたが、何しろネコちゃんはそう言う狭いところを歩きたがる。1階、2階ならまだしも、高層となると落下が心配。と言うことで、レガリスちゃんは外には出られない生活を強いられていたのです。鳩が飛んでいる、外の音が聞こえてくる、美味しそうな匂いも上がってくる、そんな外の世界に憧れて、筆者の滞在した客間の窓からなかなか離れてくれませんでした。

ティビダボの山が見える。鳩も飛んで行く。あああ、外の世界、覗きたい !

こんな可愛いネコちゃんを置いて旅行なんて…。ああ、でもニッポンの魅力も捨てがたい ! そんなライアの葛藤が眼に浮かぶようですね。

「遊んでくれる ? 」「ダメダメ、食事の支度中よ ! 」なんて会話が想像される

だから日本でも、ネコちゃんに反応、記念写真を撮り、レガリスとの離れ離れの悲しさを癒すわけですね。

どの町でも道も必ずチェック ! キョロキョロ周りを見ていたら見逃しそうなレリーフも逃さない

大阪から貴志駅までの遠足は、ネコちゃん駅長に会うために考えたものだそうで、美術館でもご機嫌に写真撮影。このコラムを書くにあたり、調べて見たのですが、ニタマさんとたまさん、あまりよくわからないのは、私にネコちゃん愛が足りないからでしょうか ? 多分ネコちゃんファンのみなさまならば、写真を見れば一目瞭然なのでしょうから、多くは語らないことにします…。

さまざまな素材で駅長さんが描かれている。もう撮影は止まらない…

筆者にとってはおんなじでも、微妙に色目の違う看板。ああ、ネコちゃん愛が止まらないライア !

電車の中、駅構内、至る所で撮影するライア。自撮りの腕は素晴らしく、ああ、時代だな、と感じてしまう筆者です。「ええ、1人で旅行はつまらなくない ? 」と聞いたものの、長期休暇の取れない筆者が同行するわけにもいかず、泣く泣く写真で我慢するわけですが、絶対に楽しそう~、と思ってしまいます。

あああ、座席のクッションも、ドロップスも、全部ネコちゃん駅長さん ! もうお土産を買い漁ることに

ここまでコラムを書いて、「たま」さんと、「ニタマ」さん、2人の駅長がいることに気づいた筆者ですが、常識知らずですみません ! 

一匹狼の筆者にとって、自分の生活で精一杯、とてもネコちゃんを家族に招き入れる覚悟はないのですが、なんだかネコちゃん、癒されてみたくなってきました。ライアに感化されて ? でも、まあ、ぜひ一度体験してみたいことの1つということで、今日のコラムはおしまいです。
では、今月のフレーズもお楽しみください。

今月のフレーズは

¡Miau, miau! (ミアウ、ミアウ)
「ニャー、ニャー」

¡Guau, guau! (グアウ、グアウ)
「ワン、ワン」