スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。
石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

とうとう夏がやってきました。「梅雨」のないバルセロナ始めスペイン各地、もちろん海開き、山開きというイベントはないわけで、5月であろうが11月であろうが、お天気が良ければ海水浴。8月が冷夏だった年もあり、そうなると海水浴に行く人も減る、という感じです。最近友人がスペインに行き、暑い夏を満喫して元気に戻ってきました。ああ、なんと羨ましいことなんでしょう〜。

夜明けと夕暮れ、日本とこんなに違う〜

2023年7月のマラガの海。ビーチでおやつ、ビーチで水遊び、ビーチで海水浴。影がかなり長いのですが、酷暑の南ヨーロッパでの海水浴は、19時以降がオススメ

日本人特有の早寝早起きを実践するその友人が、ある日現地時間の5時にメッセージを送信してきました。『Yさん、こんな時間に起きちゃって、何やってるの ? ホテル滞在だったよねー』と返信すると、『そうなのよー。何をすればいいかわからなくって。でもいつもの時間に目が覚めたのよ』とメッセージが返ってきました。

「初めて泊まったわ、カプセルホテル」とメッセージが。「え ? スペインにもカプセルホテル ? アルベルゲ (巡礼者のために考案された簡易宿泊所) みたいなもの ? 」と言えば、「ほら、ドアがこうやって並んでいて、バスやトイレは共同なの。でもスーツケースはちゃんとお部屋に入ったわ。」旅はしてみるものだ

「カプセルホテルの朝食よ。前日ホテルの人とおしゃべりしたんだけれど、ちゃんと私の好きなものばかりが入っていたわ」ご満喫なYさん

最近の筆者の生活は、4時過ぎ起床、5時過ぎ出発で畑に行きます。先日、大量にいただき冷凍にされていた昨年の鮎を消費すべく、3日ほどかかって「甘露煮もどき」に加工しました。出来上がった今日は、それを近隣に住むバーベキュー仲間、畑仲間たちにおすそ分けすべく、6時前には訪問。6時前に家庭訪問 ? 都会では考えられないタイムスケジュールですが、この夏の暑い時期、田舎で畑をする人々は、6時過ぎだと朝飯前の畑仕事の後に家で一休み、水分補給や台所仕事、というのはスタンダード。前出の友人Yさんも、畑仕事こそしないけれど、5時には起床、仕事の前に昼食や夕食のために料理をしたり、掃除をしたり、日本ではごく普通の時間割ですよね。朝5時過ぎに家を出ると、ランニングやウォーキング、犬の散歩の人々など、かなりの人たちとすれ違いますよね。今の時季、朝7時には日差しも強くなり、8時には気温が30度を超える、となると、前倒しでの作業は必須です。そうです。日本の夏は、5時には明るいので、活動の幅が増えるからなのですね。

海が見えるのがマラガの街並み。ヤシの木が南国を思わせる。右の写真はもしかしたらグラナダ ? アラブ文化が融合されているこのスペイン南の町々の風景には、アラビア建築も見える
「あれ、Yさん、タバコ吸わないよね ? 」「水タバコよ」「私は吸ったことがないんだけれど、どう ? 」「味というより、香りを楽しむ、って感じだったわ」まだまだ未知のものがたくさんあるスペイン

では、スペインの朝は、というと、サマータイムが導入され続けているヨーロッパは、3月と10月の最終土曜日から日曜日にかけての深夜に、それぞれ1時間、進めたり、戻したり、という瞬間があります。2023年だと、3月26日の深夜2時が3時に進み、10月29日の深夜3時が深夜2時に戻る、ということになります。このサマータイムについてはヨーロッパ内でかなり論議されていて、続けるかやめるか、なかなか決着がつかないようで、インターネットで検索したところ、2026年までのスケジュールが発表されていました。

さて、時計が1時間早まったり戻ったりしても、太陽の角度までは変えることはできませんよね。ですから、夏の午前5時は、まだまだ暗いわけなのです。今の時期だと、午前7時ごろにならないと、明るくはならず、夕方は21時前まで明るいのです。

午前5時といえば、スペインでは非常に微妙な時間帯です。夜通し飲み歩いて、帰宅するのが朝の5時、なんていうのは、ごくごく普通の週末の行動。つまり、朝だと思って散歩に出ると、朝帰りの若者たち (そんなに若者ではなくても、週末に夜通し遊び歩くのは特段変なことではありませんが) とすれ違ったりするわけですね。Yさんも、どうしようかな、と悩んでいたわけですね。いくら滞在先が都会ではない小さな町、とはいえ、まだ真っ暗な5時に散歩、はちょっと不安ですものね。

ええ ? 朝5時まで飲み歩くの ? これにも説明が要りますよね。度々、日本とスペインでは食事の時間がかなり違うというお話をしてきました。多分、ヨーロッパの中でスペインが特別なんだと思いますが、隣国フランスなどでは19時に夕食、というのが普通です。でもスペインの夕食は、21時開始、というのがごく一般的なのです。22時半から夕食、なんていうのもごくごく普通。多分日本だとオーダーストップの時間ですよね。

朝7時を過ぎ、21時半過ぎまで明るいので、散歩にはうってつけだが、早朝5時はちょっと心細い、知らない町の散策

それは、やはり日の出の時間の違い、なのだと思いますが、みなさんはどう思われますか ? というのも、午前4時過ぎに起きようとしたら、21時過ぎに寝ないと、十分な睡眠時間が取れないんです。でも起床時間が6時、7時ならば、0時に就寝で十分休めるんですよね。0時就寝ならば、21時に夕食で十分です。そして1日の食事で一番重要なのが、スペインの場合昼食なのです。夕食はパン、ハム、サラダ、スープという軽めだったりします。日本でメインの食事が夕食の団欒、ということを考えたら、19時には夕食にしたいですね。ここで、2時間の時差が生じるっていうことにお気づきでしょうか ? なので、夕食の後に飲みに出かけるのも、日本の時間から2時間ずれます。よって、スペインの午前5時は、日本の午前3時っていう感覚。真夜中ですよね ? なので、5 de la mañana (シンコ・デ・ラ・マニャーナ=朝5時) ではなく、5 de la madrugada (シンコ・デ・ラ・マドゥルガーダ=深夜5時) という言い方のほうが多いような気がします。

朝が遅いスペインですが、仕事開始の時間は意外と早い、ということもお話ししたことがあると思います。銀行は店舗によって違いがあるものの、8時15分や8時半。最近は銀行の支店が少なくなってきて、またカードやモバイルアプリ、インターネット経由での取引が多くなり、窓口業務が減ってきたため、なかなか簡単に窓口に行けない、という話も聞きますが、意外に朝早くから仕事が始まります。スーパーは基本9時から22時。デパートは平日10時から22時まで。シフト制ではあるものの、案外夜遅くまで開いています。日本の24時間オープンのようなお店はほぼありませんが、それでもひと昔前に比べて、開店時間が長くなっています。

「ボリューム抜群、野菜が多いわね ? 」「モロッコ料理店に連れて行ってもらったのよ」、だそうです。ジブラルタル海峡を渡れば、そこはモロッコ。アンダルシア地方はアラビア文化の宝庫だ
21:30過ぎのビーチ。まだまだたくさんの人が海水浴を楽しんでいる。右は古い船を改造したバーベキュー。注文すると、イワシを焼いてくれ、熱々が食べられるとのこと。旅のお供にお醤油を持参する、というのは現代でもやっぱりおすすめなのかもしれない

では、今日はYさんより提供していただいた画像でスペインの南に位置するグラナダとマラガの様子をご覧いただきました。次の休暇を夢見て暑い夏を乗り切りましょう !

¡Buenas vacaciones! (ブエナス・バカシオネス ! )
「良い休暇を ! 」

アルハンブラ宮殿近くのAlhambra (アランブラ) ビール工場近くにて、地ビール「Alhambra」をいただいたとのこと。Alhambraと書くが、スペイン語はHを発音しないので、アランブラとなる
お茶の時間もアラブ風。ミントティー、コーヒー、お菓子はハチミツたっぷり、甘いもの。観光の疲れも吹っ飛ぶ