スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。
石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

一年で一番寒い時期に突入です。金沢は穏やかな新年を迎えました。令和3年の大晦日は夕方から道が凍ってしまい、夜のドライブは怖かったため出かけられなかったのですが、令和4年は無事除夜の鐘を撞きに行くことができました。やはり一年のけじめ、って、清々しいですよね。
そんな中うかうかしていると、早2月。睦月、如月、弥生、と、昔国語の時間に暗記した月名が頭をよぎりました。春の七草同様、それぞれの頭文字を歌のようにして記憶し、それを引っ張り出して「つき、さらぎ、よい…」と唱え始めると、「ああ、日本語はなんて合理的になってしまったんだろう。「2月」って、一年の二番目の月、そのままじゃん」と思ってしまいます。寒いので書斎にこもって、そんなこんなを考える日々。早く雪が溶けないかなぁ。そろそろタネを植えて芽出しをしなきゃなぁ。そんなことで頭をリフレッシュしている筆者ですが、みなさんはいかがお過ごしですか ?

可愛いものいっぱい ! 美味しいものいっぱい !

猫ちゃんのいる風景に癒されながらのライアの旅

外国人は、JRの電車が「ほぼ」乗り放題の「JRパス (ジャパン・レール・パス) 」というものを携えて、日本に来ます。1週間分のパスは、東京・大阪を一往復すれば元が取れる感じの価格設定で、リーズナブルです。1、2、3週間用の三種類で、それを駆使して日本全国を回るのです。昔は筆者も外国居住者だったため簡単に使用できたのですが、最近はそのシステムが変わり、外国居住の日本国籍の方の購入は、証明書が必要となったり、と、かなりハードルが高めになっているようです。
今回見せてもらったパスは、かなり簡略化されていました。一昔前は、三つ折りの厚紙でできたしおりに使用者の情報が記載され、そのしおりを窓口に見せ、指定券の予約をした後、発券を受け、しおりにもハンコが押される、という仕組みで、乗車中の検札でもパスポートとともに提示することになっていたのです。でも、今回ライアが持って来たのは、JRの切符と同じ形の、裏が茶色い、一枚の名刺大のパス。「え~、これでいいの ? 小さいよね。無くさないようにしなきゃね」と、心配性の私。

「なにしろ、わかりやすいのよね。電車の種類によって、自分の席がどこか、すぐ分かるもの〜」

「昔は窓口で予約しなきゃいけなかったけれど、今はこのパスで、機械で予約・発券ができるのよ。何が良いって、座席表も見られる、ということなの。便利になったわぁ」とご機嫌なライア。なかなか進歩しているようで、このまま金沢に籠りきりだと、世の中についていけなくなってしまう、という不安が頭をよぎりました…。

そんなわけで、ライアは私の手助けなんて何の必要もなく、金沢駅で予約発券をし、サンダーバードに乗って京都へと旅立っていったのです。何だか、旅立つ娘を送り出すような気分…。かたいハグの後、彼女は軽やかに改札を通り過ぎて行きました。

そんな友達の次の滞在先は関西。京都と大阪で1週間を過ごす、というもの。子供に人気の、某電気を発する黄色いネズミのショップに行き、外では紅葉の秋の色を楽しみ、「洗濯機の形が可愛い」と写真を撮り、清涼飲料水の種類の多さにワクワクし…。何しろそれを毎日まとめてインスタのストーリーズに載せる技が、速いこと、速いこと。二日も経つともう見られなくなるので、通知が来たら即見に行く、という毎日。おかげさまで日本国内での投稿だったため、時差がなく、夕食時に眺めることができましたが、これがバルセロナからの投稿だと、見逃すことも多々あり、「ふ〜。スピード速すぎ」とため息をつくこともしばしばある今日この頃。みなさん、SNSにはついていけてますか ?

旅のお供はよりどりみどり、どこにでもある自販機に大感動

清涼飲料水の種類が豊富な日本。それも、街角にたくさんある自動販売機では目移りがするほど。ヨーロッパといえば、街角のカフェに座って飲み物を注文しなければトイレにも行けず、かなりの出費になるのですが、日本ではどんな商業施設、駅、コンビニにもトイレがあり、飲み物もよりどりみどり、とくれば、こんなに効率の良いことはありませんよね。寒い時にはホット、歩きすぎて暑くなったら冷たい飲み物をゲット。

「今日はね、鞍馬山へ行くの」とメッセージが来た時には、「え ? 私、関西に住んでいたことあるけれど、鞍馬山は行ったことないわ」と思い、私って、なんて日本のことを知らないんだろう、と落ち込んだものです。鞍馬天狗の「鞍馬山」? なぜに、スペイン人が遠足の行き先に決めたんだろうか、という疑問も浮かびます。そこでは鞍馬寺、貴船神社と散策し、大好きな日本のスイーツを堪能したライア。日本の古き良き時代から、現代日本、全てを網羅するライア。もう、尊敬です !

このお菓子の形が可愛い〜と、パシャリ。お地蔵さんも、虎も、天狗も。フォトジェニックシーンは逃さない

彼女の関西での目的は、11月19日に開催された 『ドールショウ大阪』で、この日に大阪に滞在するために全ての日程を組んだ、という、かなりレアな観光客と言えるでしょう。手先の器用なライアは、某着せ替え人形始め、様々なお人形の洋服やアクセサリーを手作りし、世界各国のドールショウに行き、様々な友達を作ります。もちろんバルセロ ナでもイベントは行われるし、そこに日本の方が来ることもあるので、着々と人脈が増えて行きます。「大阪では、バルセロナで友達になった〇〇ちゃんに会うのよ」なんて言って、楽しそうです。ほんの30年前は外国との通信にスマホが使われるなんて想像もできなかったですよね。当時は高い国際電話料金を払っての会話、もしくはファックス、時間のかかる国際郵便での文通ぐらいしか思い浮かびませんでしたものね。今は、スマホアプリでテレビ電話さえできてしまう…。

カワイイ〜と、時間を忘れて見入ったドールショウ大阪。お買い物も忘れていない

なぜかホテルにある洗濯乾燥機と、湯沸しポットに反応したライア

今日は皆既月食だよ、と教えてあげたら、何とこの構図。電線むき出しな日本の風景は、ある種外国人のテンションを上げる、というが、ここまでとは…

真っ赤な紅葉。バルセロナ市内ではあまり見られない景色に、パシャリ

生地を買って、作り方の本を買って、さて、どんな作品ができるのやら?

人と人との距離は、SNSやスマホアプリなどでますます縮まっているけれど、異文化を楽しむにはそれなりの時間をかけなければなりませんよね。そんな中、1年の有給休暇を全部使って日本観光を楽しんだ友達。「ゆとり」ですよね。まだまだ彼女の冒険は続きます。モダンな日本と古風な日本をバランスよく楽しむ、彼女の旅の記録を見ていると、無性に旅に出たくなりました。早く春が来ないかなぁ。旅は無理でも、畑が待っている、と自分を鼓舞して寒さに耐える2月。今日も、夢見て頑張りましょう〜。

今月のフレーズは
¡Qué te lo pases bien! (ケ・テ・ロ・パセス・ビエン)
「楽しんでね ! 」