スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。
石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

『春よ来い ! 早く来い ! 』と、みーちゃんが待っている季節に突入です。童謡だとは知っていても、その歌の背景や全容を調べたことのない方、たくさんいらっしゃることでしょう。筆者もその1人です。まだまだストーブの離せない時期、たまに太陽が出ると、俄然日光浴をしたくなるのですが、風はまだまだ冷たいですよね。うううん、早く春よ、来てください ! 雪国ならではの願望ですが、気候の良いところにお住いの方、ぜひ雪国への移住、考えてみてください ! みーちゃんの気持ちを身を以て実感できるはずですから。

わかりやすいかも ?! 街角のポスター !

言葉も気候もぜんぜん違う町に住む、ライアの冒険を綴ってきましたが、今日はまたまた彼女の視点から見た日本の魅力をお伝えしていきたいと思います。

東京~金沢を新幹線でひとっ飛び、そして関西からさらに南下。その後、九州、四国、その後東京に、と旅したライアから提供してもらった写真は、日本に住む人からすれば「何でこの写真 ? 」というものがいっぱいあります。確かに、彼女の目から見たらエキゾチックな日本の街角なのですが、それが写した画像に表れています。

町の見物のみならず、ハイキングにも出かけたライア。漢字、アルファベット、アイコンを解読、注意書きは一目瞭然

日本から中国に旅すると、お店の看板や表示が視覚に入れば、「発音できなくても意味がわかる」というのが、漢字文化の良さと言えますよね。学生時代の漢字テスト、読み方がわからなかったり、点やハネが間違っていて減点された、というのは誰にでも経験のあることなのではないでしょうか ? 子供の頃から嫌という程書き取りをさせられ、暗記させられ、今ではその漢字が目に入ってくるだけで、おおよその意味がわかる、というのはありがたいことで、旅行に役立ったりするわけですね。

ライアも日本語を習っていて、ひらがな、カタカナは読めますが、問題は難しい漢字です。外国人のための日本語教育というのは、子供が対象ではないので、日本の小学校の国語とはかなり異なります。「さいた、さいた、さくらがさいた」で始まったと記憶している小学校の国語の教科書 (もしかしたら、今の子供たちはもっとモダンな文章から始めるのかしら ? )、ここには外国人には少々高めのハードルが存在します。「咲く」→「咲いた」ですが、外国人ならば、「咲きます」「咲きました」、つまり現在形、過去形を習い始めて会話の練習を積んでいくはずです。それがいきなり動詞「咲く」の連用形「咲いた」が出てきて、「なぜ、咲きた、にならなずに「咲いた」なのか ? 」などなど、私たちが日常的に話している言葉にも、かなりハードな規則があるのですね。

広島で見つけたフラメンコライブのポスター。一目瞭然。鎌倉で見つけた本屋さん、カタルーニャ語、もちろんライアは反応

よく、「スペイン語って、動詞の活用がたくさんあって、覚えるのが大変じゃないですか ? 難しいですよね」と言われますが、スペイン人ならば、「何でトラック、本、お皿、犬など、台、冊、枚、匹、といった助数詞をいちいちつけなくてはいけないの ? 『3ビール、おねがいします (スペイン語ならば、Tres cervezas, por favorで済んじゃうので) 』じゃダメ ? 」と質問してくるでしょう。「うん、うん、通じるよ。大丈夫。でも、『ビール3杯 (3つ) おねがいします』の方がエレガントだけれどね」なんて言ったりもします。要はビールを注文できればいいのですから、目的が達成できるのならば、単語の羅列で通じますよね。でも、そうです。日本語だって、十分難しいのですよ。

駅のポスターは人目を引く。もちろんパシャり

そんな中、ライアの目を引いたのが、数々のポスターの類い。もともと漫画やアニメファンの彼女は、その後日本語を勉強し始め、日本にも数度遊びに来ています。数年前には、「10日しか休みがないから、今回は東京だけなの」と、金沢には来れなかったほど。よく、「マドリードのプラド美術館は広すぎて、1日では回れない」というお話を聞きますが、東京にはたくさんのアミューズメント施設、ショップ、美術館、公園などがあり、1週間でも時間が足りない、と言うのは納得です。秋葉原に行けば、たっぷり1日、いえいえ次の日も別のお店へ、と、時間がいくらあっても足りないでしょう。そして旅行の途中途中に町で見かけるポスターは、彼女にとって日本語の勉強のための、趣味と実益を兼ねた教材と言えるのだと思います。

ニャンコに反応したのか、頑張ってカタカナ、漢字を解読したのか…

例えば、バルセロナであまり見かけなかったものに、獣医さんや歯医者さんの看板があります。都会では大きな看板は立てられないので、入り口の頭上にあったりしますが、大抵、施設の名前からとった頭文字から作られたロゴが目立ちます。でも、日本では獣医さんの看板には動物のイラストが入っていたり、歯医者さんの看板には歯の絵が入っていたりしますよね。視覚的に「あ、歯医者さん」とか、「獣医さん ! 」とか識別できますね。日本語習得者は、それと同時に施設の名前も「読む」のではなく、「見る」訳で、言葉をビジュアルとして認識しているのではないのかな、と思います。

ニャンコちゃんに反応するライア。マンガチックなポスターには即反応。ネコは言葉を超える

野良猫には注意しましょう、という看板。テクノロジーを駆使して、看板の意味は理解したよう

でも、ライアのようにまだ完全に日本語を習得していない人にとって、この動物や歯のイラストは大変ありがたい情報になるのだと思います。文字にもイラストにも、両方に伝えたいことを盛り込んだポスターや看板。これも、マンガ、俳句、カラオケなどの日本発祥の文化の1つだ、ということを、今回のライアの旅で再認識させてもらいました。

こんなに大きな看板が目に入らないなんて…。色のコンビネーションがあまりにもマッチしすぎたのか…?

そんな中、面白い写真がありました。「日本人は礼儀正しいし真面目なので、決まりを破るはずがない」と対外的には思われているのですが、それを見事に打ち砕いたワンショット。このユーモアいっぱいの画像を見て、「まあ、なんてことでしょう ! 」と思う人もいれば、「ぐふふ。絵になるよね」とニンマリする人もいるはずです。こんなにわかりやすい看板なのに、目に入らなかったのでしょうか ? そこもライアは見逃しません。

偶然、火焚祭の日に伏見稲荷に行ったライア。『ねえ、お願い事を書くの ? それともお祓いしてもらいたいことを書くの ? 』というメッセージが届いた。急いでスマホで検索して答えた筆者。これはもう、日本語云々の話ではなくなる。また一つ知識が増えた

とあるショップの壁のポスター。映画のパロディのようなイラストが面白い。標語はひらがなとカタカナ。一目瞭然

今月のフレーズは、シンプルに。数字の1をつけるときには、その後に来る名詞の性によって、UnaまたはUnと変化します。でも、これでバルでの注文はバッチリできます!

¡Una cerveza, por favor! (ウナ・セルベッサ、ポル・ファボール)
「ビールを1杯、おねがいします ! 」

¡Un café, por favor! (ウン・カフェ、ポル・ファボール)
「コーヒーを1杯、おねがいします ! 」