スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。
石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

休暇中は、曜日も日にちも全く無視で、唯一Pさんが出勤前の準備をする気配があると、「お、今日は平日か ? 」となります。基本、寝る前に食器洗浄機、乾燥機付きの洗濯機をセットし就寝のPさんは、それでも朝は暗いうちから起床です。なにしろ、白々と夜が明けるのが7時ごろ。サマータイム導入のヨーロッパではあるあるの朝の風景です。

週末ごとに、歩行者天国 ?

同居の息子ちゃん (筆者が彼女のアパートに引っ越した後に生まれた、という、これまた成長を見てきた次男) は、大学で学んでいる学生さん。長男君 (初めて会ったのは彼が5歳ぐらいの時) は実家を出て、彼女さんと暮らしていて、今回の滞在中5週間で唯一会えなかった家族です。その長男君のお部屋に滞在させてもらったのですが、勝手知ったる元いたアパート、ブラブラと近隣の散歩にいそしみました。

突如大きなコンクリートブロックが現れ、道が封鎖される。交通標識も特別バージョン

平日は、主にお仕事をしていない友人訪問。筆者のバルセロナでの交友関係は多岐に渡り、またバルセロナを離れた当時から10年以上たっているため、ほとんどが年金受給者になっています。基本、年金受給になった人たちは会社勤めといったお仕事はしない、というのがポピュラーなのです。詳しい額までは聞いていないものの、それぞれの年金の掛け方によって、受取額が違うのは、日本と同じです。

そんななか、一階に住むPさんのお母さん (80歳を超えたマリアは、私のバルセロナの母でもあります) の顔を見に行き、お母さんの身の回りのお世話などを手伝ってくれている住み込みの女性と朝のコーヒーを飲みに出かけたり、など、日課には事欠きません。だいたいが、アパートから徒歩圏のパン屋さんであったりするのですが、朝のコーヒーの後はそれぞれ買い物や散歩に向かいます。

スペイン広場の闘牛場跡ショッピングセンターからは、バルセロナ南部から町が360度見渡せる。画像右手の青いバスが向かう方向が、サンツ通り

サンツ地区は町中心部から外れているものの、スペイン広場に通じるサンツ通りには商店、ブティック、レストラン、市場、地下鉄やバスなど、中心部に行かなくても徒歩で十分用が足りる便利なところです。

平日は、プラプラと「今日は○○を買いに行こう」や、「あの自然派のお店には何がおいてあるのかな ? 」など、自由に歩きます。金沢では買い物は必ず自家用車で、という生活をしているため、初めのころは筋肉痛にも悩まされました。で、スマホの万歩計を、と思えば、旅行前にスマホの容量が足りないことに気づき、古い写真や使わないアプリを消去していたため、とうとう日々何歩歩いていたのか、ということは分からずじまいだった、というオチまでついてしまいましたが。

カタルーニャ広場を町の中心とすると、サンツ地区はこんな感じに位置する

平日はお店も開いていて、車や配送のトラック、バスなどが走るメイン通りですが、週末になると様子が違う、ということに気づいたのは、そろそろ日本への帰国が近づいたころです。「¿Qué dices? ¿Por qué? (ケ・ディセス ? ポル・ケ ? =なに言ってるの ? どうして ? ) 」なのですが、最初の週末は美々ちゃんのおうち、その次の週末は月替わりの最初の週末、その次はPさんの海の家に、などなど、週末は現役でお仕事をしている方たちとの集いで、だいたい郊外に遊びに行っていたからなのです。

自転車レーンとバスレーンが同じ、というのも衝撃だし、速度規制が時速30キロになったのも驚き (2007年に免許取得の時に習った時は、時速50キロだった) 。
お掃除カーも、遠慮なくスピードを気にせず動ける

月替わりの最初の週末は、Pさんが結婚式にお呼ばれしていてバルセロナ不在だったため、また、旅行疲れと悪天候で体調不良だったため、アパートでグダグダしていたわけです。そんな中、散歩に出ると、メイン通りがブロックで封鎖され、歩行者天国状態となっているではないですか ! 「へー、6月になって夏が始まると、町も活気が出てくるもんだ」とのんきに考えていた筆者です。

その勘違いに気づいたのが、6月終わりの週末です。「あら、今週末も歩行者天国 ? 」と思いきや、なんと毎週、週末は道にブロックを置いて、通行止めにし (バスやタクシーがどうしても通らなければならない主要な部分は、通行可能区域になっていました) 、道の両サイドの商店、レストラン、バルなどがイスやテーブル、テントなどを設置し、お商売をしているというではないですか !

そして、道路が歩行者天国になって気づいたのですが、最高速度も30キロ規制のマークが塗られているではないですか ! 前々回 (2024年8月号) 、道路が数キロにわたって歩行者優先道路になり、緑が増えた、というお話をしましたが、こちらは毎週末、歩行者天国に早変わりです。

若者たちのアクティビティの作業場になったり、近所の人たちの談笑の場となったり、車が来ないのは安心

確かに、金沢でも百万石まつりや金沢マラソンなど、町を挙げてのイベントには、一か月以上前から交通規制が周知され、チラシや回覧板で通行止めの時間やう回路などが発表されます。こういうイベントは、年に数回ですから、特に車社会の地方の町では重要になってきますよね。ただ、バルセロナほどの規模の都市ともなると、そのメイン通りを通行止めにしても、すぐ近くの道などを使い、回り道をして目的地に着ける、であったり、徒歩、地下鉄、自転車で移動可能であったりするので、町としても決断がしやすかったのだと想像します。また、このような変化は、5年前、2019年には見られなかった (歩行者天国は、季節ごとのお祭りでは経験したけれど、毎週ではありませんでした) もので、2020年に始まった新型コロナウィルス対策の、厳しい規制 (自宅から出られない、出られてもスーパー、薬局へ行くのみ、犬の散歩は可、などなど日本では信じられないような罰則もあったとのこと) 以降に始まった感じがしました。

交通が遮断されると、ショップやカフェテリアが道路に進出。ボール遊びにスケートボード、普段は公園でしかできないが、週末は道路で
黄色いセメントの車止めには、『Obrim carrers (カタラン語で『道を開きましょう』) 』というスローガンが

2024年は、すっかりそんな疫病のことも人々の話題には乗らず、市民の生活はますます活気づいてきました。そして日本は、やっと秋が到来の兆しですね。お散歩には最適な季節になってきました。歩行者天国は少ないのですが、お休みの日にはぜひ町の散策を楽しみたいものですね。

今月のフレーズ

- スペイン語 -
¿Qué dices? ¿Por qué? (ケ・ディセス ? ポル・ケ ? )
「なに言ってるの ? どうして ? 」

- カタラン語 -
Què dius? Per què? (ケ・ディウス ? パル・ケ ? )
「なに言ってるの ? どうして ? 」