2024/10/08 業界コラム 杉田 美保子 スペインの知られざる文化 No.70 スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子 スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。 石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。 京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。 スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。 休暇中は、曜日も日にちも全く無視で、唯一Pさんが出勤前の準備をする気配があると、「お、今日は平日か ? 」となります。基本、寝る前に食器洗浄機、乾燥機付きの洗濯機をセットし就寝のPさんは、それでも朝は暗いうちから起床です。なにしろ、白々と夜が明けるのが7時ごろ。サマータイム導入のヨーロッパではあるあるの朝の風景です。 週末ごとに、歩行者天国 ? 同居の息子ちゃん (筆者が彼女のアパートに引っ越した後に生まれた、という、これまた成長を見てきた次男) は、大学で学んでいる学生さん。長男君 (初めて会ったのは彼が5歳ぐらいの時) は実家を出て、彼女さんと暮らしていて、今回の滞在中5週間で唯一会えなかった家族です。その長男君のお部屋に滞在させてもらったのですが、勝手知ったる元いたアパート、ブラブラと近隣の散歩にいそしみました。 突如大きなコンクリートブロックが現れ、道が封鎖される。交通標識も特別バージョン平日は、主にお仕事をしていない友人訪問。筆者のバルセロナでの交友関係は多岐に渡り、またバルセロナを離れた当時から10年以上たっているため、ほとんどが年金受給者になっています。基本、年金受給になった人たちは会社勤めといったお仕事はしない、というのがポピュラーなのです。詳しい額までは聞いていないものの、それぞれの年金の掛け方によって、受取額が違うのは、日本と同じです。 そんななか、一階に住むPさんのお母さん (80歳を超えたマリアは、私のバルセロナの母でもあります) の顔を見に行き、お母さんの身の回りのお世話などを手伝ってくれている住み込みの女性と朝のコーヒーを飲みに出かけたり、など、日課には事欠きません。だいたいが、アパートから徒歩圏のパン屋さんであったりするのですが、朝のコーヒーの後はそれぞれ買い物や散歩に向かいます。 スペイン広場の闘牛場跡ショッピングセンターからは、バルセロナ南部から町が360度見渡せる。画像右手の青いバスが向かう方向が、サンツ通りサンツ地区は町中心部から外れているものの、スペイン広場に通じるサンツ通りには商店、ブティック、レストラン、市場、地下鉄やバスなど、中心部に行かなくても徒歩で十分用が足りる便利なところです。 平日は、プラプラと「今日は○○を買いに行こう」や、「あの自然派のお店には何がおいてあるのかな ? 」など、自由に歩きます。金沢では買い物は必ず自家用車で、という生活をしているため、初めのころは筋肉痛にも悩まされました。で、スマホの万歩計を、と思えば、旅行前にスマホの容量が足りないことに気づき、古い写真や使わないアプリを消去していたため、とうとう日々何歩歩いていたのか、ということは分からずじまいだった、というオチまでついてしまいましたが。 カタルーニャ広場を町の中心とすると、サンツ地区はこんな感じに位置する平日はお店も開いていて、車や配送のトラック、バスなどが走るメイン通りですが、週末になると様子が違う、ということに気づいたのは、そろそろ日本への帰国が近づいたころです。「¿Qué dices? ¿Por qué? (ケ・ディセス ? ポル・ケ ? =なに言ってるの ? どうして ? ) 」なのですが、最初の週末は美々ちゃんのおうち、その次の週末は月替わりの最初の週末、その次はPさんの海の家に、などなど、週末は現役でお仕事をしている方たちとの集いで、だいたい郊外に遊びに行っていたからなのです。 自転車レーンとバスレーンが同じ、というのも衝撃だし、速度規制が時速30キロになったのも驚き (2007年に免許取得の時に習った時は、時速50キロだった) 。お掃除カーも、遠慮なくスピードを気にせず動ける月替わりの最初の週末は、Pさんが結婚式にお呼ばれしていてバルセロナ不在だったため、また、旅行疲れと悪天候で体調不良だったため、アパートでグダグダしていたわけです。そんな中、散歩に出ると、メイン通りがブロックで封鎖され、歩行者天国状態となっているではないですか ! 「へー、6月になって夏が始まると、町も活気が出てくるもんだ」とのんきに考えていた筆者です。 その勘違いに気づいたのが、6月終わりの週末です。「あら、今週末も歩行者天国 ? 」と思いきや、なんと毎週、週末は道にブロックを置いて、通行止めにし (バスやタクシーがどうしても通らなければならない主要な部分は、通行可能区域になっていました) 、道の両サイドの商店、レストラン、バルなどがイスやテーブル、テントなどを設置し、お商売をしているというではないですか ! そして、道路が歩行者天国になって気づいたのですが、最高速度も30キロ規制のマークが塗られているではないですか ! 前々回 (2024年8月号) 、道路が数キロにわたって歩行者優先道路になり、緑が増えた、というお話をしましたが、こちらは毎週末、歩行者天国に早変わりです。 若者たちのアクティビティの作業場になったり、近所の人たちの談笑の場となったり、車が来ないのは安心確かに、金沢でも百万石まつりや金沢マラソンなど、町を挙げてのイベントには、一か月以上前から交通規制が周知され、チラシや回覧板で通行止めの時間やう回路などが発表されます。こういうイベントは、年に数回ですから、特に車社会の地方の町では重要になってきますよね。ただ、バルセロナほどの規模の都市ともなると、そのメイン通りを通行止めにしても、すぐ近くの道などを使い、回り道をして目的地に着ける、であったり、徒歩、地下鉄、自転車で移動可能であったりするので、町としても決断がしやすかったのだと想像します。また、このような変化は、5年前、2019年には見られなかった (歩行者天国は、季節ごとのお祭りでは経験したけれど、毎週ではありませんでした) もので、2020年に始まった新型コロナウィルス対策の、厳しい規制 (自宅から出られない、出られてもスーパー、薬局へ行くのみ、犬の散歩は可、などなど日本では信じられないような罰則もあったとのこと) 以降に始まった感じがしました。 交通が遮断されると、ショップやカフェテリアが道路に進出。ボール遊びにスケートボード、普段は公園でしかできないが、週末は道路で黄色いセメントの車止めには、『Obrim carrers (カタラン語で『道を開きましょう』) 』というスローガンが2024年は、すっかりそんな疫病のことも人々の話題には乗らず、市民の生活はますます活気づいてきました。そして日本は、やっと秋が到来の兆しですね。お散歩には最適な季節になってきました。歩行者天国は少ないのですが、お休みの日にはぜひ町の散策を楽しみたいものですね。 今月のフレーズ - スペイン語 - ¿Qué dices? ¿Por qué? (ケ・ディセス ? ポル・ケ ? ) 「なに言ってるの ? どうして ? 」 - カタラン語 - Què dius? Per què? (ケ・ディウス ? パル・ケ ? ) 「なに言ってるの ? どうして ? 」 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子さんのその他の記事 2025/01/15 業界コラム スペインの知られざる文化 No.73 (最終回) 2024/12/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.72 2024/11/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.71 2024/10/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.70 2024/09/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.69 2024/08/07 業界コラム スペインの知られざる文化 No.68 2024/07/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.67 2024/06/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.66 2024/05/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.18 2024/04/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.17 2024/03/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.16 2024/01/10 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.15 2023/12/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.14 2023/11/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.13 2023/10/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.65 2023/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.64 2023/07/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.12 2023/06/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.63 2023/05/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.11 2023/04/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.10 2023/03/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.9 2023/02/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.8 2023/01/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.7 2022/12/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.62 2022/11/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.61 2022/10/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.60 2022/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.59 2022/08/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.58 2022/07/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.6 2022/06/14 業界コラム スペインの知られざる文化 No. 57 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月