スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。
石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

今年もあと数週間となりましたね。「あっ」という間でした。厳密には、「あっ、まあその、暑いね、寒いね、云々」という間ではございましたが、何しろ時が経つのが早すぎます ! 11月半ばにやっとトマトやらナスやらの残渣処理を終えたのに、年が明けると春の畑準備が待っています。晴耕雨読のはずの畑仕事も、最近の少雨のため、ほぼ連日何かしらの作業に追われ、背中はバキバキ、腰はドンヨリ、誰ですか、『畑仕事は健康に良い』なんて言っているのは !? でもまあこれも、華麗に加齢している証拠なのでしょうか ?

老眼、ですって ? なんか「老」の字って…

49歳でバルセロナを引き上げて帰国した当時は、就寝前の読書が大好きだった筆者。読み始めると夜更かしをしてしまうエキサイトな本であったり、読み始めて「す~っ」と夢の国に行ってしまうドリーミーな本であったり、さまざまな作品を読んだものです。
日本引き上げ時に荷物持ちとして同行してくれた心優しい友達は、3歳年下だったにもかかわらず、「老眼鏡」が無いと字が読めない、と言っては、日本のホームセンターやショッピングセンターで老眼鏡を見つけては買い求めていました。「だって、バルセロナで「老眼鏡」を買おうと思ったら、薬局にしかないし、可愛くないし、高いし…」そんな彼女を笑っていた私にも、ついに「小さい字が見えない」という現実がやってきたわけです。

カメラのピントが合わず、まさに「老眼」が再現されていた。老眼になると左のように遠くがよく見え、老眼鏡をかけると手前にピントが合う

ある日、就寝前に本が読めなくなってしまったのです。厳密には、「あ、目が疲れた」であったり、「なんか本を読むのが面倒だな」であったり、いろいろな症状が現れていたのですが、何のことはない、「老眼」という域に達しただけだったのですね。半年ほど就寝前読書をしなかった時、「あら ? これはなんて書いてあるの ? 」と思ったのが、スーパーで商品を手に取り、説明書きを読もうとした時…。これは、まさに ? そう。「老眼」です。

これもカメラのピントぼけ現象。でも、今見ると、まさしく老眼の見え方

えええええ ? まだ・・50歳になったばかりなのに ? いえいえ、もう・・50歳になった、わけですね。
でもね、この「老眼」っていう言葉、哀愁漂いすぎではないですか ? なんかこう、医学用語でカッコいい言葉ってないものでしょうか ? …探しました…。「老視」だそうです。やっぱり「老」がつくのですね。

さて、スペインではどうなのでしょうか ? 以前、2020年4月号でバルセロナのとあるデンタルクリニックのお話をしました。ラッキーなことに、治療をされる方の付き添いで行ったため、写真を撮らせてもらえましたが、今回は現地取材ができていません。また、バルセロナでは一度だけ、救急で眼科に行っただけで、目の問題に悩まされたことがないのです。どこまでご説明できるのかはわかりませんが、もう少しお付き合いくださいね。

スペイン語で「老眼」のことは、一般的に「Vista cansada (ビスタ・カンサーダ=疲労した視力) 」と言われます。そうそう。疲れたんですよ、目も。医学用語では「Presbicia (プレスビシア=老眼、老視) 」と言うそうです。この医学用語はバルセロナ滞在中に使ったことがなく、今日初めて目にしました。もっぱら「ビスタ・カンサーダ」で用は済んでいたのです。なんか、優しくないですか ? もちろん『加齢』によって視力が疲労するのですが、「ロウガン」という響きより、優しい気がするのは、私だけでしょうか ?

そこで、このPresbiciaという言葉、よくよく調べてみましたが、古代ギリシャ語派生で、これをスペイン語に訳すと「anciano (アンシアーノ=歳をとった、老いた) 」という言葉が出てきちゃいました。そうか、古代ギリシャ人も、「老い」を感じていたのか…。

二階に2つ、バッグに1つ、普段使いは現在行方不明、どこかに置き忘れたと思われる

本当は、スペインは「老い」なんて言葉とは無縁なんですよ~、というコラムにしたかったのですが、1500文字書いて、挫折ということになります。下調べ不足、申し訳ございません !

実は、1歳半からメガネと共同体、という友達が金沢に来ていたので尋ねたのですが、「眼科に行ってもいろんな検査があるからね、ちょっと一概には説明できないわ」と言われてしまい、自分なりに検索したものの、今回は調べ切りませんでした。
視力検査にも、さまざまな測量方法があるようで、日本とスペインの測量方が違う、ということなのですね。重さも長さも、速さの単位も、スペインと日本の両国で共通なのだけれど、視力検査方法は違うのですね。いつか機会があればご紹介することにします。

こんな細かな紐通しが、裸眼でできたなんて ! 若いって、素晴らしい !

『老眼も気から』、なのかも ? 連日子供達に囲まれていた筆者、眼力ももらっていたのかも ?

でも、ここでコラムが終了するのはフラストレーション満載なので、話題変えてみます。

日本でよく耳にする「血液サラサラにするお薬」という言葉に、違和感満載となった筆者。父の病院に付き添った時に処方されていた数々のお薬の中にありました。そんな目でドラッグストアに行ってさまざまなお薬を見ると、パッケージがとても鮮やかで、どれを買えばいいのか目移りさえしてしまいます。スペインでは基本、医者に行き、処方箋をもらうと、年齢によって自己負担額は違うものの、保険負担でお薬が買えます。もちろん、ビタミン剤や、治療目的ではない疲れ目などの目薬、風邪薬などは処方箋なしで買えますが、これは保険適用ではありません。日本と同じですね。なので、たいていの人が処方箋をもらってお薬を買います。

新型コロナ感染症が始まる随分前に、スペイン人カップルが金沢に遊びに来ました。彼らは、友達の友達だったのですが、「何かあったらいつでも連絡ちょうだいね」と連絡先を渡してあったのです。
「初めまして ! ちょっと相談したいことができちゃったんだけど」とメッセージが来ました。
「あのね、彼のほうが足を挫いちゃって、イブプロフェンが欲しいんだけれど、ドラッグストアに行くとたくさん種類があって、カフェインが入っていたりして、どれが良いかわからないの」というものでした。
「あら、うちに前回スペインに行った時に持って来たものがあるからどうぞ使って~。パラセタモールもあるから、セットで差し上げるわ。ホテルはどこ ? 」

アストゥリアス地方の観光地 クディレロの風景

ここから、バルセロナ以外のお友達の輪が繋がるのです。アストゥリアス地方在住の彼ら、彼は看護師、彼女はドクター、必要最低限のお薬は持って来ているものの、イブプロフェンとパラセタモールは、かなりの頻度で使用されます。日本人が旅行の際に胃薬と頭痛薬を持って行く、という感覚ですね。やはり飲み慣れたお薬の方が効き目を想像でき、そこに思わぬハプニング。手持ちのお薬がなくなって現地調達に走ったけれど、探しきれなかった、ということ。

薬剤に関して専門家ではない筆者が書くことはあまりないのですが、それほど世間に出回っているのがこの2つのお薬です。
つまり、スペインではお薬の名前を呼ぶことが主流で、その効果で呼ぶことはないのです。だから、「血液をサラサラにする薬」とか「血圧を下げる薬」とかの説明書きのフレーズが面白いな、と。抗血栓薬にも、降圧剤にも、いろんな薬剤が存在し、飲む方の既往症などによって変わるものだと思うので、一概に「血液サラサラ」も「血圧の薬」も薬名ではない、ということですね。お薬と一緒にいただける説明書には薬の名前が印刷されているのですが、まあ、確かにこのカタカナの長い薬剤名全てを覚えて、それをお医者さんに説明するには、ハードル高そうですよね。その辺りを加味して、一般の方が何を飲んでいるかがきちんとわかるような説明書きが付いているというのが、とっても日本らしいな、と思いました。

今日は、「老眼」の優しくない『老』の字遣いの表記と、「血液をサラサラにする薬」の優しい表記のギャップについてお話ししてみました。
ちなみに、筆者は目が良かったので、急激に老眼が進んでしまいましたが、眼科医に相談すると「あなたの場合、乱視などが入っていないので、どんな老眼鏡でも大丈夫ですよ」と言われているので100円均一のお店で選びます。家のあちこちに、バッグに1つ、職場に1つ。そして、こだわりとしては、「老眼鏡」表記ではなく、「リーディンググラス」表記のものを購入するようにしています。せめてもの抵抗、というのかしら ?

今月のフレーズは
¡¡Aún soy joven!! (アウン・ソイ・ホベン ! )
「まだ私、若いわよ ! 」