2019/02/05 業界コラム 杉田 美保子 スペインの知られざる文化 No.22 スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子 スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。 石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。 京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。 スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。 バルセロナの住人の多くが犬を飼っています。郊外の一軒家に住んでいるならば、庭もあって犬にとっても良さそうなものの、大抵は町中のアパート・マンション(一般に piso = ピソと呼ばれる)暮らしということになります。 日本のアパートというと、2LD だったり 10 畳ほどでワンルームのマンションだったり、犬を飼うには狭いのかな? とか小型犬なら良いのかな? などとイメージしてしまいますよね。 ワンちゃんも一緒にお買い物バルセロナの住宅事情は多岐にわたっていて、新しい地区なのか、旧市街なのか、町の中心なのか、郊外なのか、によって住宅の大きさは変わります。実際、筆者の住んでいた Sants 地区一つ取っても、古い建物、新しい建物、リフォーム済みのもの、などなどがあります。賃貸で住んでいる場合、もしかしたら大家さんが「ペットはダメよ」ということもありますが、持ち家の場合、かなりの確率で猫、犬といった動物も家族の一員として住んでいます。 筆者の足元でくつろぎ、中庭ではしゃぐフラッシュ 畳の生活ではなく、タイル、大理石、フローリングの床に、基本靴を履いたままのライフスタイルなため、大きくても、小さくても、動物たちは家中を自由に歩き回ります。猫の場合、トイレさえきちんと管理すれば、家の中でのんびり過ごしているというのは、日本もバルセロナもおんなじなのですが、では犬の場合はどうなのでしょうか? 今の金沢の住まいの近所でも、犬を散歩させている人とたくさんすれ違いますが、サイズは小型が多いように思います。いくら庭があるとはいえ、冬は雪が積もり、夏は 40 度にもなると、ワンちゃんはお家の中で過ごすことが多いのだと思います。 でも、バルセロナは、というと…。 写真でジャンプを披露しているのはフラッシュ。バルセロナの母マリアの息子さんとお孫さんが数年前に保護犬の里親となったもので、息子さんが出勤中、お孫さんが学校に行っていて不在の時には、マリアの家に来てお留守番をする、というシステムになっています。 散歩に出たい、出たい、と飼い主にじゃれるフラッシュ幸運にもマリアの家には中庭(patio = パティオ)があるので、好きに走り回っていられるのが幸運なのかもしれません。このフラッシュは、毎日の散歩に加え、週末の散歩も欠かさず、20 キロほどの散歩にも音を上げずについてくる、という元気な子です。ある日、迎えに来た息子さんの持っていた散歩用の首輪を見つけ、「早く外に連れて行って〜」とばかりに、その首輪をくわえようとジャンプしているところを連写。普段も、たまにしか遊びに行かない私にも「撫でて〜、撫でて〜」と近寄ってくるので、番犬としてはあまり役に立たないのかな? さて、こういうたくさんのワンちゃんたち。町に散歩に出る時って、どんな時なのでしょうか? 例えば、日曜日の朝は、新聞スタンドに行き新聞の日曜版を買い、その新聞を持って Bar や Cafetería のテラスで新聞を読みながらコーヒーとクロワッサンで朝食をし、その後パン屋さんに寄ってお昼用のパン(pan = パン)を買い求め、そして家に戻る、という人を多々見かけます。そうすると、ワンちゃんもその朝の散歩のお供です。 朝、昼、買い物やゴミ捨て、町を散歩するワンちゃんたち(写真協力 © Salvador Barrau Viñas) 新聞スタンドは広場などにあるので、ワンちゃん連れもオッケー。外にあるテラスならば、ワンちゃんもオッケー(たまに中にも入れる場合があります)。でも、パン屋さんはどうなんでしょう? パン屋さん、スーパー、薬局、美容院、病院、などなど、一般的に動物は入れないところが多いです。もちろん、盲導犬はペットではないので、他のペットたちとは区別されているのは万国共通です。さすがのお犬ちゃん大好きのバルセロナでも、入ることができないところがあるわけです。では、買い物ついでにワンちゃんを散歩させよう、と考える飼い主たちは、どうするのでしょうか? それが今月の写真です。 それぞれのお店が、目立つことなく、それでいておしゃれに、こういうワンちゃん連れのお客さまのために提供する「駐犬場」。いつかバルセロナにいらっしゃることがあれば、いろんなお店の入り口にも目をとめてみてください。思わず「クスリ」と笑っちゃうこと請け合いです。 T’espero aquí、カタラン語で「ここで君を待ちます」 十字架は薬局のマーク (写真協力 © Salvador Barrau Viñas) 薬局の入り口 (写真協力 © Salvador Barrau Viñas) Jo m’espero aquí カタラン語で「私はここで待ってます」 (写真協力 © Salvador Barrau Viñas) パーキングマークにワンちゃん 見てそのもの (写真協力 © Salvador Barrau Viñas) ドアの取っ手の下のフックは… (写真協力 © Salvador Barrau Viñas) パン屋さんにもワンちゃんは入れない(写真協力 © Salvador Barrau Viñas) 腸詰ソーセージが売りのスーパー、ここもワンちゃんは入れない(写真協力 © Salvador Barrau Viñas) カフェの入り口。ここでワンちゃんは待つ(写真協力 © Salvador Barrau Viñas) 誰かの手書き、Perro(犬) (写真協力 © Salvador Barrau Viñas) パン屋さんのロゴ入り (写真協力 © Salvador Barrau Viñas) ここにも… (写真協力 © Salvador Barrau Viñas) これは Bar の入り口。朝食のプロモーション「コーヒーとクロワッサン 1,8€」(写真協力 © Salvador Barrau Viñas) 「パンのない場所には、犬でさえ寄り付かない」(写真協力 © Salvador Barrau Viñas) ワンちゃんポートより、「おっと! 私はガラスだよ!」の方がユーモアあり?(写真協力 © Salvador Barrau Viñas) 奥さんのマリアロサさんの ワンちゃんもお使いについてきて、 スーパーの外で待ちます (写真協力 © Salvador Barrau Viñas)もちろん、ワンちゃんの排便の始末のマナーが良くない飼い主など、まだまだ解決しなければならない問題はあるのですが、町中での動物との共生は、日本より進んでいるのでしょうか? それは居住スペースの問題であったり、隣近所との兼ね合いであったりするのでしょうか? 全体的に住居が広い、石造りで防音効果が高い、などの理由なのでしょうか? 次の里帰りでは、もう少し詳しく研究しますね。 では、寒い毎日ですが、 「¡Abrígate, que hace frío!(アブリガテ、ケ・アセ・フリオ!) = 着込んで、寒いですから、の意味)」。 その他のワンちゃんリング(写真協力 © Salvador Barrau Viñas) この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子さんのその他の記事 2025/01/15 業界コラム スペインの知られざる文化 No.73 (最終回) 2024/12/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.72 2024/11/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.71 2024/10/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.70 2024/09/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.69 2024/08/07 業界コラム スペインの知られざる文化 No.68 2024/07/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.67 2024/06/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.66 2024/05/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.18 2024/04/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.17 2024/03/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.16 2024/01/10 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.15 2023/12/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.14 2023/11/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.13 2023/10/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.65 2023/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.64 2023/07/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.12 2023/06/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.63 2023/05/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.11 2023/04/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.10 2023/03/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.9 2023/02/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.8 2023/01/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.7 2022/12/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.62 2022/11/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.61 2022/10/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.60 2022/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.59 2022/08/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.58 2022/07/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.6 2022/06/14 業界コラム スペインの知られざる文化 No. 57 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月