2018/11/06 業界コラム 杉田 美保子 スペインの知られざる文化 No.19 スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子 スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。 石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。 京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。 スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。 日本の生活も 3 年が過ぎると、不思議なことはかなり少なくなってきましたが、それでもやはり、時折り疑問は浮かびます。その一つが「待てるか、待てないか」「急いでいるか、急いでいないか」という見極めです。 急いでいる? 急いでいない? - ¿Tienen prisa o no?いつ左折で車が来るか、さすがに赤信号無視は危険金沢でも観光地に近いところに住み始めて一年半が経ちましたが、お国柄の違いを垣間見るにはうってつけのロケーションなので喜んでいます。それが、例えば、道の横断です。 基本、スペインでは歩行者信号が赤でも、車が全く通行していない場合、人々は右左(スペインは車両右側通行なので左右)を確認し、平気で赤信号で車道を横切って渡ります。信号のない車道も、もちろん車両の通行がない(もしくはかなり遠くに車が走っている)場合にも、車道を横切り渡ります。この、信号のない車道で車が通っていない状況では、日本でも多くの人が道を横切るのではないでしょうか? 急いでいるか、どうか、ではなく、合理性を考えて、というのはどこの国民も同じなのでしょうね。 車一台がやっと通れる狭い車道の横断歩道。 それでも真面目に信号待ちをするしかし、日本では、「歩行者側赤信号」を渡る人は皆無です。それが、スペイン人の目には奇異に映るらしく、いつも聞かれます。「どうして車が来ないのに、みんな道を渡らないの?」 横断歩道にて、歩行者が赤信号、イコール、歩行者は渡ってはいけないから、誰も渡らないんだよ、と一応の説明をしますが、それをみなさん一応納得してくれます。そして、「日本人は規則を守る、真面目な人種なんだね」や、「日本人はおっとりと、急がない人種なんだね」と言われたりもします。その度に「そうそう、順番待ちもきちんとする人種なんだよね、日本人は。急がないんだよ」と答えたりしたものです。 でも、ある日、それって実は大きな間違いなのではないか、ということに気づいたのです。 そんなに混んでもいない空港のエレベーターに最後に乗り込み、行きたい階のボタンを押し、ドアの方に体を向け、エレベーターのドアが閉まるのを待っている時でした。 ご覧の通り、スペインのエレベーターには「開く」ボタンしかないのが普通だ唯一、1 年前に地下鉄の駅に設置 されたものには、「閉める」ボタン が存在した。呼び出しボタンの下の 鍵穴は、消防士が使用する非常用の物私の乗り込む前から乗っていて、偶然隣になった人が、慌ただしく「とある」ボタンを押したのです。 サーッ。エレベーターの扉が瞬く間に閉まります。 なんと、エレベーターの扉を閉めるボタン…。 閉まりかけのドアを「開ける」というボタンは、スペインのエレベーターにも付いていたので、駆け込んで乗りたい人を待つ時などに押したこともありましたが、ほとんどの場合ドアを押さえていれば扉が閉まるのを防ぐことができました。そのため、エレベーターのボタンは、行きたい階のボタン以外押す習慣がありませんでした。多分その時私の隣にいた人は、私が日本人なのに、微動だにしない、ということを不可解に思ったことでしょう。 「開く」「閉じる」ボタンは、階数ボタンとは離れたところにあるのが、日本でおなじみのエレベーターそうです。スペインのほとんどのエレベーターには、「閉じる」ボタンが付いていないのです。エレベーターというものは、自動でドアが開き、自動でドアが閉まる、と思っているのが、日本人以外の人種だと思います。なので、ドアが閉まるまでの数秒の待ち時間は、特にもったいないと思わないのが普通です。 その昔、日本での学生時代に「開」「閉」と書いたボタンを見た記憶がありますが、最近のものは、二つの三角が縦 1 本線の左右につき、「開」は三角の点が外側を向き、「閉」は三角の点が内側を向いている記号に変わっていました。もしくは、記号と言葉の二段階、というボタンもあります。確かに、日本のエレベーターのボタンに「閉」ボタンのないものは存在しません。 さて、日本でエレベーターに乗って気づいたのは、最後に乗った人はまず、「閉まるボタン」を押し、その後行き先の階を確認する、ということです。 「そんなに急いでいるんですか?」というハテナマークが頭を飛び回ります。 赤信号の横断歩道では、車が走っていないにもかかわらず、信号が青に変わるのを待てるのに、エレベーターの扉が自動に閉まるのを待てない…。 日本で一番古い、1861年、文久元年に試作品として作られた兼六園の噴水確かに、わが町金沢の、観光地のとある横断歩道は、信号がついているにもかかわらず、警備員が両脇を固め、「はい、信号赤に変わります!」「次の青になるまでお待ちください!」と交通整理をしています。これ、日本人に対してのサービスではないんですね。だって、日本人は、赤信号では横断歩道を渡らないのですから…。 日本人は急いでいるのか、急いでいないのか〜。 ますます謎が深まります。では、秋も深まっている金沢からでした。 ¡A disfrutar del otoño! (ア・ディスフルタール・デル・オトーニョ = 秋を楽しんでね!) 兼六園の今(11月4日撮影)「兼六園」と言えば、ことじ灯籠、唐崎の松、蓬莱島 山崎山の紅葉のピークは、まだまだ先のようだ 山崎山が、ほんのり色づいてきた 花見橋は、滑り止めのこもがかけられた 根上松の雪づりも、もう少し先 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子さんのその他の記事 2025/01/15 業界コラム スペインの知られざる文化 No.73 (最終回) 2024/12/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.72 2024/11/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.71 2024/10/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.70 2024/09/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.69 2024/08/07 業界コラム スペインの知られざる文化 No.68 2024/07/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.67 2024/06/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.66 2024/05/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.18 2024/04/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.17 2024/03/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.16 2024/01/10 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.15 2023/12/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.14 2023/11/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.13 2023/10/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.65 2023/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.64 2023/07/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.12 2023/06/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.63 2023/05/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.11 2023/04/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.10 2023/03/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.9 2023/02/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.8 2023/01/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.7 2022/12/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.62 2022/11/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.61 2022/10/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.60 2022/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.59 2022/08/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.58 2022/07/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.6 2022/06/14 業界コラム スペインの知られざる文化 No. 57 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月