スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国。
金沢市の北國外国語カレッジを中心に、スペインの生活とスペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでつながりながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとして、ますます活動の幅を広げていくべく、挑戦中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

「暑さ寒さも彼岸まで」「天高く馬肥ゆる秋」などなど、日本での季節を表現するのに、こういった故事、ことわざが使われます。先月号で、「スペインには衣替え、という概念はあまりありません」と言い切ってしまったので、季節感が無いのでは、という誤解を与えてしまいましたか? いえいえ、それがあるんです。

スペインでもことわざは使います

暑い夏ではなく、肌寒い時期についてのことわざの方が多い感じがします。その中でも、特にポピュラーなものをご紹介しましょう。

あまり雨の降らなくなったバルセロナ。ここぞとばかり、重装備のお子さんを発見。新しいレインコートを着たかったって、お母さんの説明

En abril, aguas mil
エン・アブリール、アグアス・ミル (4月には、1000の水。1000というのは「たくさん」という意味で。アグアは水という意味ですが、ここでは雨のこと。よって「4月には雨がたくさん降る」)というフレーズです。これは、「日本には梅雨と言って、6月に雨の季節になるんだよ」と説明した時に、「スペインだって雨の季節はあるよ」と教えてもらった言葉です。もう三十年以上前のことですが、その当時に今の語学力があれば、もっと面白い話を聞かせてもらえたのに、と、ちょっぴり残念な気持ちになりったりします。

11月の空と、4月の空。雨がほとんど降らない町の貴重な写真。こんな空を見ても、傘を持っている人は、極端に少ない
3年前にご紹介した、エリとパトリシの畑。4月の様子は、うららかな太陽が。もっと雨が降ればいいのに

ただ、筆者が1980年代後半にスペインに渡った後、住むことになったのが地中海側のバルセロナ。年間300日は晴れ、という太陽の似合う町で、日本のような雨の季節、というものは最後まで経験できず、唯一2005年の8月、冷夏を経験したぐらいでしょうか。
やはり、その昔はどの国も農業を営む人が多勢であり、畑で農作物を作るにあたり、天からの恵みの雨はみんなが望むものであり、作物の生育に春の雨は必要ということで、この言葉が生まれたのだろうということです。

日本ならば桜が咲いている季節の4月。地中海側では、ヤシの木、オリーブなどが青々としている。空は青く、日向ぼっこのために公園にはベンチが並ぶ

Hasta el 40 de mayo, no te quites el sayo
アスタ・エル・クワレンタ・デ・マーヨ、ノ・テ・キテス・エル・サーヨ(5月の40日までは、コート(防寒具)を脱ぐな)という言い伝えです。これは、19世紀の半ばに「牧畜民は、5月の40日まで、マントもコートも家に置き忘れることはない」というフレーズが、20世紀になって簡略化し、6月の声を聞いても急激な気温変化があるので、防寒対策はしっかりと、という意味であったようです。

5月40日って、6月9日のこと? そうなのです。朝晩と日中の寒暖の差は、夏場にも起こるスペイン。特に夏に入りかけの5月の末は、不安定な気候になることが多いからなのです。

4月23日はサンジョルディ。この辺りの気候も、最近は雨が降らない。 先月ご紹介したように、着るものもみな様々だ

どちらのフレーズにも、韻が踏んであるので、聞いていて心地よい、というのもこれらのことわざの面白いところです。前者はAbril(4月)とmil(1000)で、最後のilが同じ。後者はmayo(5月)とsayo(昔のチュニック型のコート)のayoが共通していますね。こういうことから、これらの言葉を口にすると、言葉の響きがおんなじで、言いやすいので、今も人々の口から出てくるのかもしれませんね。

6月になってもまだまだSAYOが手放せない。この場合、赤ちゃんの上着は、 SAYOではないのだが…
5月を過ぎて、コクリコの花が咲き乱れるが、やはり風は冷たかったりする。内陸部の田舎の散歩では、まだまだ上着が必要だ

さて、コラムの連載も、『スペインのゆとり、日本のゆとり スペインの世界遺産「巡礼の道」』シリーズや、『スペインには無い日本の魅力』シリーズを合わせると50回を超えました。読み方をカタカナで振り、毎回少しずつスペイン語の単語を取り混ぜて、スペインと日本の違い、または共通点などを説明してきました。そろそろ「スペイン語、面白そう!習ってみたいな〜」という方も、いらっしゃるのではないでしょうか? もしくは、「あああ、スペインには行ったことあるけれど、もう少しバルセロナでのんびりしたかったなぁ」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今日は、そんな「コロナ禍で海外旅行ができない!」と嘆いてらっしゃる方に、日本国内にいてバルセロナの文化を楽しめる、バルセロナ文化センターをご紹介しますね。京都の北大路に今年4月オープンしたばかりのこのセンターの主宰者は、Rosalia Avila Tàpies(ロサリア・アビラ・タピエス)氏。彼女と私は、だいたい同じ時期に、それぞれの国を離れ、まるで二人が入れ替わったかのように、お互いに異国の文化の中で生きて来ました。そんな彼女が京都に立ち上げたのが、「日本にいながらにして、バルセロナの文化を感じてほしい」というバルセロナ文化センターです。京都以外にお住いの方は、国内旅行で京都へ行き、まずは日本の文化を楽しみ、その途中で異国の空気も楽しめる、というロケーションです。空間にこだわった、明るいセンター内部では、いろいろな図書が閲覧できます。スペイン語、カタルーニャ語はもちろんのこと、英語、日本語などの書籍も少しづつ増えて来ています。


バルセロナ文化センターのチラシには、センター内の雰囲気がとても良く現れている

そして「スペイン語で話してみたい!」という方には、ここでの語学レッスンをオススメします。ネイティブ講師が日本語を交えてわかりやすいレッスンを行います。語学の学習には、さまざまな形態がありますが、その時にわからないところを、瞬時に質問、分かるまで親切丁寧に教えてもらえるのが、このようなクラスに参加する利点ですね。また、スペインやバルセロナを共通点として友達が増えるのも、今の時代のストレスフルな生活の中に必要な息抜きなのでは、と思います。

ということで、今日のワンフレーズは、
¡Venga, vamos a aprender juntos!(ベンガ、バモス・ア・アプレンデール・フントス)「さあ、みんな一緒に習いましょう!」

¡Hasta pronto! (アスタ・プロント)「では、また近いうちに!」