2020/12/01 業界コラム 杉田 美保子 スペインの知られざる文化 No.42 スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子 スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。 石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。 京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。 スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。 「暑さ寒さも彼岸まで」「天高く馬肥ゆる秋」などなど、日本での季節を表現するのに、こういった故事、ことわざが使われます。先月号で、「スペインには衣替え、という概念はあまりありません」と言い切ってしまったので、季節感が無いのでは、という誤解を与えてしまいましたか? いえいえ、それがあるんです。 スペインでもことわざは使います暑い夏ではなく、肌寒い時期についてのことわざの方が多い感じがします。その中でも、特にポピュラーなものをご紹介しましょう。 あまり雨の降らなくなったバルセロナ。ここぞとばかり、重装備のお子さんを発見。新しいレインコートを着たかったって、お母さんの説明En abril, aguas mil エン・アブリール、アグアス・ミル (4月には、1000の水。1000というのは「たくさん」という意味で。アグアは水という意味ですが、ここでは雨のこと。よって「4月には雨がたくさん降る」)というフレーズです。これは、「日本には梅雨と言って、6月に雨の季節になるんだよ」と説明した時に、「スペインだって雨の季節はあるよ」と教えてもらった言葉です。もう三十年以上前のことですが、その当時に今の語学力があれば、もっと面白い話を聞かせてもらえたのに、と、ちょっぴり残念な気持ちになりったりします。 11月の空と、4月の空。雨がほとんど降らない町の貴重な写真。こんな空を見ても、傘を持っている人は、極端に少ない3年前にご紹介した、エリとパトリシの畑。4月の様子は、うららかな太陽が。もっと雨が降ればいいのにただ、筆者が1980年代後半にスペインに渡った後、住むことになったのが地中海側のバルセロナ。年間300日は晴れ、という太陽の似合う町で、日本のような雨の季節、というものは最後まで経験できず、唯一2005年の8月、冷夏を経験したぐらいでしょうか。 やはり、その昔はどの国も農業を営む人が多勢であり、畑で農作物を作るにあたり、天からの恵みの雨はみんなが望むものであり、作物の生育に春の雨は必要ということで、この言葉が生まれたのだろうということです。 日本ならば桜が咲いている季節の4月。地中海側では、ヤシの木、オリーブなどが青々としている。空は青く、日向ぼっこのために公園にはベンチが並ぶHasta el 40 de mayo, no te quites el sayo アスタ・エル・クワレンタ・デ・マーヨ、ノ・テ・キテス・エル・サーヨ(5月の40日までは、コート(防寒具)を脱ぐな)という言い伝えです。これは、19世紀の半ばに「牧畜民は、5月の40日まで、マントもコートも家に置き忘れることはない」というフレーズが、20世紀になって簡略化し、6月の声を聞いても急激な気温変化があるので、防寒対策はしっかりと、という意味であったようです。 5月40日って、6月9日のこと? そうなのです。朝晩と日中の寒暖の差は、夏場にも起こるスペイン。特に夏に入りかけの5月の末は、不安定な気候になることが多いからなのです。 4月23日はサンジョルディ。この辺りの気候も、最近は雨が降らない。 先月ご紹介したように、着るものもみな様々だどちらのフレーズにも、韻が踏んであるので、聞いていて心地よい、というのもこれらのことわざの面白いところです。前者はAbril(4月)とmil(1000)で、最後のilが同じ。後者はmayo(5月)とsayo(昔のチュニック型のコート)のayoが共通していますね。こういうことから、これらの言葉を口にすると、言葉の響きがおんなじで、言いやすいので、今も人々の口から出てくるのかもしれませんね。 6月になってもまだまだSAYOが手放せない。この場合、赤ちゃんの上着は、 SAYOではないのだが…5月を過ぎて、コクリコの花が咲き乱れるが、やはり風は冷たかったりする。内陸部の田舎の散歩では、まだまだ上着が必要ださて、コラムの連載も、『スペインのゆとり、日本のゆとり スペインの世界遺産「巡礼の道」』シリーズや、『スペインには無い日本の魅力』シリーズを合わせると50回を超えました。読み方をカタカナで振り、毎回少しずつスペイン語の単語を取り混ぜて、スペインと日本の違い、または共通点などを説明してきました。そろそろ「スペイン語、面白そう!習ってみたいな〜」という方も、いらっしゃるのではないでしょうか? もしくは、「あああ、スペインには行ったことあるけれど、もう少しバルセロナでのんびりしたかったなぁ」という方もいらっしゃるのではないでしょうか? 今日は、そんな「コロナ禍で海外旅行ができない!」と嘆いてらっしゃる方に、日本国内にいてバルセロナの文化を楽しめる、バルセロナ文化センターをご紹介しますね。京都の北大路に今年4月オープンしたばかりのこのセンターの主宰者は、Rosalia Avila Tàpies(ロサリア・アビラ・タピエス)氏。彼女と私は、だいたい同じ時期に、それぞれの国を離れ、まるで二人が入れ替わったかのように、お互いに異国の文化の中で生きて来ました。そんな彼女が京都に立ち上げたのが、「日本にいながらにして、バルセロナの文化を感じてほしい」というバルセロナ文化センターです。京都以外にお住いの方は、国内旅行で京都へ行き、まずは日本の文化を楽しみ、その途中で異国の空気も楽しめる、というロケーションです。空間にこだわった、明るいセンター内部では、いろいろな図書が閲覧できます。スペイン語、カタルーニャ語はもちろんのこと、英語、日本語などの書籍も少しづつ増えて来ています。 バルセロナ文化センターのチラシには、センター内の雰囲気がとても良く現れている そして「スペイン語で話してみたい!」という方には、ここでの語学レッスンをオススメします。ネイティブ講師が日本語を交えてわかりやすいレッスンを行います。語学の学習には、さまざまな形態がありますが、その時にわからないところを、瞬時に質問、分かるまで親切丁寧に教えてもらえるのが、このようなクラスに参加する利点ですね。また、スペインやバルセロナを共通点として友達が増えるのも、今の時代のストレスフルな生活の中に必要な息抜きなのでは、と思います。 ということで、今日のワンフレーズは、 ¡Venga, vamos a aprender juntos!(ベンガ、バモス・ア・アプレンデール・フントス)「さあ、みんな一緒に習いましょう!」 ¡Hasta pronto! (アスタ・プロント)「では、また近いうちに!」 この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子さんのその他の記事 2025/01/15 業界コラム スペインの知られざる文化 No.73 (最終回) 2024/12/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.72 2024/11/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.71 2024/10/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.70 2024/09/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.69 2024/08/07 業界コラム スペインの知られざる文化 No.68 2024/07/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.67 2024/06/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.66 2024/05/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.18 2024/04/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.17 2024/03/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.16 2024/01/10 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.15 2023/12/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.14 2023/11/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.13 2023/10/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.65 2023/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.64 2023/07/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.12 2023/06/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.63 2023/05/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.11 2023/04/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.10 2023/03/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.9 2023/02/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.8 2023/01/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.7 2022/12/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.62 2022/11/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.61 2022/10/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.60 2022/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.59 2022/08/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.58 2022/07/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.6 2022/06/14 業界コラム スペインの知られざる文化 No. 57 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月