2021/02/03 業界コラム 杉田 美保子 スペインの知られざる文化 No.44 スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子 スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。 石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。 京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。 スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。 2021年が始まり一ヶ月、ちょっとホッとした2月になります。なぜホッと、なのか、うまく説明出来ればいいのですがー。 改めまして、本年もよろしくお願いいたします! 2020年は、新型コロナウィルスに始まり、バルセロナへの里帰りはキャンセル、私事ではありますが父との別れがあり、そして新型コロナウィルスで終わりました。 スペインにはない風習『喪中のご挨拶』2020年の師走に入り、ちょっと慌てた筆者。そうです、喪中には年賀状でのご挨拶をしない、という日本の風習は、日本に住む以上、避けて通れないことのようなのです。日本に戻ってきて5年以上過ぎ、最近年賀状で連絡を取り合う友人は15人ほど。それ以外の友人たちとは、メール、スマホのメッセンジャー機能、様々なアプリ経由、などなど、デジタル媒体が多くなりました。父の方は近年になって、終賀状だと言っていたものの、それでも2020年は50枚近くの賀状をいただいており、その方々へ訃報のご挨拶状。ご友人がたが賀状を用意する前に届かなくては、ということで、多分滑り込みセーフで発送ができたと思っています。 そして大晦日まで、時間は着々と進み、そこである一言を言われるわけです。 このようなハガキが私宛に届くようになったのも、日本での社会復帰が実現されているからか、それともそういう年代になったからか、などと、妙に大人を実感「美保子は喪中だから、相手の方に、おめでとうと言わせないため、年始は人に会わない方がいいんじゃないの?」という趣旨のコメントです。 そっかー。そういうのも、日本の風習かー。門松もダメ、おめでとうもダメ。確かに喪中だしな。じゃあさ、年末年始、またまたボッチかー。バルセロナにいた時と、あんまり変わらんなー。それより向こうでは、新型コロナの前だったから、友人たちと集ってたから、今の方が孤独だな〜。 という心の声を、文字にしてみました。 スペインと違うことを探すのも、だんだん辛く、難しくなってきたほど、毎月コラムで色々なことを書かせていただいていますが、まだまだびっくりすることが出てくるのはラッキーです。 さて、冒頭の喪中葉書の件ですが、なぜ慌てたか? これ、実は郵便局の転送サービスを利用したための結果なんです。転送サービス、便利だったのですが、これ転送ではなく転居扱いとなるため、一年間という期間限定での転送なんですね。父の住所は私の家の住所になったまま、期間が終わり、転送サービスが終わると、郵便物は差出人に戻されてしまうんですね。それが12月頭だったので、慌てたのです。父のお友達が出してくださるであろう2021年の賀状は、差出人不明で戻ってしまう…、そう思ったのです。 黄色のポストは、市民が手紙を出すポスト。緑色のは、郵便局員が使用する配達用のポスト。都市部では、徒歩で手紙入りのカートを引っ張る郵便配達員に多々行き交うでは、スペインではどうでしょうか? 郵便物は住所宛に届くため、そこに実際に住んでいない、前の住人の物も普通に届きます。その住所が存在さえしていれば、そこに数週間だけ滞在している人への郵便物も、普通に届きます。大体が、ダイレクトメールであったりするので、前の住人もそんな郵便物のことは大して気にしていないようです。引っ越しをすると、忘れがちなのが銀行口座などの住所変更だったりして、その昔のアナログ時代は毎月銀行のお知らせが届いたものですが、最近はデジタル化で、ほとんど郵便物は届かなくなってきました。また、アパートの集合郵便受けには、配達員に差し戻す郵便物を入れるポストがあったりして、間違って届いた郵便物を戻したりもしました。引っ越しを何度かしましたが、その都度住所変更の届を銀行や役所に届けていたので、郵便局に転居届けを出したことは無かったのが、今の記憶。よって、日本とスペインの郵便局のシステムの違いは、公平に話せないのが残念! スペインの郵便局にも、多分引っ越しによる住所変更システムがあるとは思います。 日本では、郵便物の住所と、表札の名前が合っていても、一度転送(転居)届けを出すと、期間が過ぎたら配達してもらえないというデメリットがあって、ただそれが徹底している分、そこはメリットということなんですね。 もう1つは、「喪中の人におめでとうは言わない」という日本の風習ですね。スペインは、喪中であっても、普通にクリスマスや年始の「おめでとう」は言います。この辺りを確認するため、友人たちに訊ねてみると、「喪中である、というのと、相手の幸せを祝う、というのは、別問題で、大切な方を亡くした人へ、また故人へのリスペクトはもちろんするけれど、それと「あけましておめでとう」を言うか言わないか、は別の話よ」という回答でした。50年ほど前ならば、喪が明けるまで、黒の洋服、黒の帽子にベール、という女性がいたことを、古いスペイン映画で見たことがあるので、日本よりは素早く現代化しているのかもしれませんね。ただ、そのスペイン映画は白黒だったので、実際に黒の衣装だったかは、定かではないのですが…。 アプリで作成? 名前入り、写真での年賀状!なので、今年も届く、届く! スマホ経由でたくさんのメッセージが届きました。2020年の楽しかったシーンのコラージュ画像が添付されていたり、とっても長文で、2021年の幸せを願うメッセージであったり、シンプルに1行であったり。 ¡Feliz año nuevo! (フェリス・アーニョ・ヌエボ=幸せな新年を) 日本語に訳すと、おめでとう、となるのですが、実は、幸せな新年を願います、と言う意味が込められているのです。こう書くと、喪中の人にだって言っても良いフレーズですね。 と言うことで、今月はすでにお正月も終わり、行き合う人と新年の挨拶を交わさなくても良くなったので、それで冒頭の、「ホッとした」となるのです。 スタンプあり、短文あり、イラスト入りあり、さまざまなグリーティングがスマホ経由で到着。便利な世の中になったもんだとは言いながら、私の喪中葉書の届く前に年賀状を用意していた友人からは、「すみません、もう書き終わっていたので、送ります」と近況が書かれた賀状が3通届きました。なあーんだ。そんなに気にすることではなかったのかな? 半分日本人で、半分スペイン人の筆者…。どうにもこうにもこの中途半端さに、我ながら笑ってしまいます。そこで、冒頭の、「やっとホッとした」二月というわけなのでした。そう、2021年も、こうやって、笑って過ごします! 年賀状タイプ、長文タイプ、日本語話せる友達、日本語習っている友達、日本の餅のコラムがあったよ、とリンクを添えてくれる友達。メッセージは多種多様そんな中、イラストや写真で協力してくださるサルバドールのイラストと、バルセロナ文化センターのイラストも掲載しますね。 ¡Ríete! (リエテ! =君、笑って! の意味) この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子さんのその他の記事 2025/01/15 業界コラム スペインの知られざる文化 No.73 (最終回) 2024/12/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.72 2024/11/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.71 2024/10/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.70 2024/09/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.69 2024/08/07 業界コラム スペインの知られざる文化 No.68 2024/07/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.67 2024/06/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.66 2024/05/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.18 2024/04/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.17 2024/03/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.16 2024/01/10 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.15 2023/12/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.14 2023/11/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.13 2023/10/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.65 2023/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.64 2023/07/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.12 2023/06/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.63 2023/05/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.11 2023/04/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.10 2023/03/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.9 2023/02/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.8 2023/01/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.7 2022/12/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.62 2022/11/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.61 2022/10/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.60 2022/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.59 2022/08/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.58 2022/07/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.6 2022/06/14 業界コラム スペインの知られざる文化 No. 57 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2025年5月2025年4月2025年3月2025年2月2025年1月2024年12月2024年11月2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月