スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。
石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

10月になりました。でも、まだまだ気温は高く、秋に植える野菜たちの発芽の温度管理に頭を悩ませ、そしてまだまだ暑さで汗をかく日々が続いています。みなさん、水分補給はどうしていますか?

日本とスペイン、やっぱり「ちょっと」違う!

金沢の生活ですが、私の場合は車での移動が多く、ここ一年は公共交通機関や自転車、徒歩での移動はほぼ皆無です。もう少し歩かないといけないな、と思いながらも時間との戦い、つい移動は車です。そして車移動で便利なのは、水分補給のための水のボトルを持ち運ばなくてもいい、ということですね。助手席に水筒やペットボトルなどをおいておけるので、バッグが重くなる心配もありません。

携帯用330mlと、卓上1.5リットルのボトル。シーンによって使い分ける

バルセロナ市内の移動は、貸自転車であったりバス、メトロであったり、はたまた徒歩であったりと都会の人は健脚だ、というのがよく分かります。日本でも都会の人々はよく歩くのではないでしょうか? 何しろ、都会は路線乗り換えの通路も長いため、万歩計も半端なく計測値が上がるのではないでしょうか? そんな中、どこへ行くにもドアツードアの田舎(おっと、失礼!)生活を、ちょっと反省したりします。

巡礼の途中の村で、なぜか帰省中の友達とばったり会う。その時も、首に手ぬぐい、手に水のボトル。水は大事

こんなに暑い日が続くと移動の途中で喉が乾くのですが、みなさんはどうしていますか?

6年経って、やっぱりスペインとの違い、見つけましたよ!
それは、『ネラルウォーターのボトルサイズ』です。

欧米のスーパーに行くと、ファミリーサイズのお肉やキロ単位で売られているフルーツが主流で、買い物に困る、という旅行者の方のコメントを見たことがあります。そうですね、単身用もしくは少人数の買い物は、割高になったり、種類がなかったりと困ることもあるかと思います。ただ、ミネラルウォーターだけはちょっと違います。

スペイン巡礼の道に必要なのが水筒。ただし、空の時の重量はできるだけ軽い方が助かる。それをリュックにくくりつける

私が車に常備しているアルミの水筒は450mlと小さめです。ただ、運転している時の水分補給にあまり大きなボトルや水筒は逆に不便なわけで、この水筒が空になると大きいサイズのボトルから入れ替えて、水筒で給水しています。で、この大きいサイズのペットボトルですが…。日本のボトルはちょっと大きすぎませんか? 2リットルって…?

どうしてかというと、スペインでのペットボトルは1.5リットルが主流だからです!
意外に小さいでしょ?

手が自由になるように、リュックには様々なポケットがあり、ありがたい

冬以外に旅行されたことのある方は、周りに歩いている人たちがこの水のボトルを持っていることに気づきませんでしたか? そのペットボトルを立ち止まって飲んでいる若者とか、見ませんでした? ウォーキングの人が持つボトル、日本より大きくありませんでしたか? でも日本の500mlの飲み物だと、あっという間になくなってしまうって感じたことありませんか?

そうなんです。日本のボトルは、500ml、650mlと続きいきなり2000mlへと巨大化するのです。これには困りました。喉が乾くとグビグビ飲んでしまうので、650mlでもあっという間に無くなって、さらに2本目を買うことになるのです。

スペインでは、小さいボトルも売られています。250mlほどのミニボトルから、350ml~600mlぐらいでしょうか。小さいものは、子供達のリュックにちょうど良いサイズですね。

さて、このミネラルウォーターのボトルですが、日本では2リットルがマックスという感じですが、スペインではさらに大きなものが販売されています。5リットルや8リットルです。これは主に、家庭での消費に使われたり、前述の1.5リットルや小サイズのボトルへの継ぎ足し用に購入されていきます。かなり重いので、運ぶのに苦労するのも事実で、私のバルセロナでの母マリアは、逆にこの1.5リットルが6本パックとなったものを利用しています。家庭の台所でも、「5リットルの水タンクは持ち上げられないわ」ということで、彼女の家にステイする時には、毎日帰宅するたびにこの6リットルの重さのパック(1.5リットル×6本)を買っていきます。

スペイン巡礼中には、命の水とも言える給水地点が存在する。あまり小さいボトルだと、次の地点まで水が保たないためもあり、大きなボトルを持ち、そこに入れる水加減を考えることになる

それとは別に、1リットルのボトルも存在します。これは、キャップの上部がリング状になっていて、そこにカラビナを取り付けるとリュックに固定することができ、トレッキングや山歩きの時に両手があく、というものです。

特に歩いている時に、しっかりとした保温のきく水筒を持ち運んだりすると、水筒自体の重さで疲れてしまうってこと、ありませんか? 「だって、お水を常温で飲むなんて…。」という方、いらっしゃいますよね。帰国当初、飲食店でのお冷にたくさんの氷が入っていて、冷たくて飲めなかったことがありました。最近ではそれも慣れたのですが、バルセロナっ子は案外、常温のミネラルウォーターを注文することが多いです。慣れとは恐ろしいものですよね。

子供の頃の水筒は、蓋がコップになるようになっていたが、そんなものはあまり気にしなくなった。お上品だとか何だとか、言っていられないほど、水分補給は重要

そんな中、バルセロナの友人たちが日本のお土産として買って帰るものがあります。そうです。しっかりと保温のきく水筒です! ステンレス製の軽くて割れない、というものは、もちろんスペインでも購入できます。ただ、なぜか友人たちは、日本の会社のステンレスポットを購入してお土産とします。小さめの、熱々のコーヒーを持ち歩くのに便利なサイズを選ぶようです。

キャップがリング状になっていて、中身も1リットルと、適度な量が入るボトル。さすがに1週間以上の使用後はこのようになる

多分、日本にはペットボトル飲料がどこでも購入でき、熱いものは熱く、冷たいものは冷たく飲むことを好むようなので、ミネラルウォーターのボトルサイズに関してはそんなにこだわらないのでしょうが、水道水があまり美味しくないバルセロナでは、街の各所にある水飲み場の水を飲むよりも、お店で購入したボトルを持ち運ぶ人のほうが多いように見受けられます。また、ラッパ飲みを「はしたない」とする文化も関係があるのでしょうから、大きなボトルから直接飲む、という姿は、日本ではあまり見られないのかもしれませんね。

水道の民営化の話が、いくつかの県で進んできている日本。この美味しい水道水が今のままの品質で、なおかつ料金上昇などが起こらないことを願うばかりです。

今日のフレーズは、
Una botella de agua mineral, por favor. (ウナ・ボテーリャ・デ・アグア・ミネラル、ポル・ファボール)
「ミネラルウォーターを一本ください」

そして答えは、
¿Fría o natural? (フリーア・オ・ナトゥラル?)
「冷たいの? それとも常温の?」