師走です。みなさんはいかがお過ごしでしょうか? 2018 年が 2019 年に変わる、というだけなのに、なぜか落ち着かない日々を過ごしているのではないでしょうか? ということで、今日のコラムも、今年最後です。
年末、大掃除、一年の総集編、などなど、日本の 12 月は、その一年を反省し、新しい年を迎えるにあたって、身も心も清める、という感じがします。
安全な日本旅行は、夢のよう

ただ、年末の大掃除、というコンセプトは、スペインにはありません。学校などは 9 月、10 月の秋に始まるというのもあり、特に 12 月末がその一年のけじめとなるわけではないようです。まして、12 月のメインエベントは、クリスマス。その時期のためのプレゼント購入作戦が始まるのです。また、クリスマスイブ、クリスマス当日、そしてカタルーニャ地方では 26 日の「Sant Esteve=サン・エステヴェ(聖ステファノの日)」と 3 日連続でキリスト教のお祝い事が続きます。これら三日間は、親戚、家族などが集まり、食事会が行われます。ミサや聖歌隊の歌を聞くために教会を訪れる人も多く、日本のクリスマスとはちょっと違います。

その反面、年末年始は恋人たち、友達が集い、0 時のカウントダウン。カウントダウンの鐘に合わせて 12 個のブドウを順に食べる、というのは最近のテレビ番組で紹介されたとのことで、今や周知だとか。日本の除夜の鐘の荘厳さとはちょっと違った、カヴァ(発泡性ワイン)での乾杯、ハグやキスの嵐で新年を迎えるのです。こちらも、初日の出や初詣などという日本の年末年始とはちょっと違いますね。
そんな中、クリスマス休暇を利用して、かなりの人が海外旅行をする、というのも特徴です。その行き先が日本で、そして金沢には 2015 年の北陸新幹線の開通後、何しろたくさんの外国人の方がいらっしゃいます。ただ、私がスペインで見ていた人々とは、ちょっと様子が違うのです。なんだか、皆さん胸を張って、悠々と旅行を楽しんでいるように見受けられるのです。
去年の秋にも、安全な日本についてお話ししましたが(スペインには無い日本の魅力 No.3)今年もそのテーマをもっとビジュアルにお届けしようと思います。
観光地でのお仕事というのは、人間ウォッチングするには最適です。秋の行楽シーズンには嬉しい悲鳴、朝から夕方まで園内の案内に忙しく、のんびりと周りを観察できないのがたまにキズです。でも、その中、安全な日本、というのが特に浮かび上がってきますね。百聞は一見にしかず。両国の様子をご覧ください。


世知辛くなって来た、という我が国。でも、日本という安全な国を再認識するためにも、長い休暇の取れる方へは、海外旅行をオススメします。

基本、周囲に人がいてもいなくても、バッグ、リュックは前に持つ。これ、鉄則
(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

その上、コソ泥が近づいてバッグを探ろうとしても、なるべく面倒に感じるよう、カラビナなどを使い、ブロック!
(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)
スペインでの友人たちの口癖が、「体の動くうちに美保子のいる金沢に行ってみたい」なのですが、イヤイヤ、長寿大国の日本は少々歳を取っても、快適に旅行できるんだよ、と伝えてあります。その一つが優しいバスの乗降システムです。バスにおけるお国柄については、4 月にご紹介しましたが(スペインの知られざる文化 No.12)、つまり安全第一のため乗り降りには細心の注意が払われ、全員着席や、停車してから席を立ってください、というアナウンスが流れたりするのが日本の素晴らしいところです。
金沢は戦災にあっていない町なので、道が狭いのです。そのためバスも小さめなのかどうかはわかりませんが、中央から乗車するバスの前半分のほとんどが優先座席だったりします。朝夕の通勤時にはあまりお見かけしませんが、お年を召した方が乗ってきても十分優先座席があるように思います。ただ、通勤通学時間以外にお年寄りが集中することもあり、全ての方が正しく優先席にお座りになっているため、誰が次に乗ってきた方に席を譲るのか、という、運転手を含み立っている者全員が凍りついたオーバーブッキング状態のバスに乗り合わせたこともあります。金沢のように公共交通機関があまり発達していない街では、高齢者の免許返納による「乗客全部優先座席必要」という副産物を解決するためにも、バスの便を増やす、などの解決方法が望まれます。ちなみに、バルセロナは都会なので、地下鉄で 2-3 分間隔、バスでも 7-8 分間隔で次便が来るため、街中の移動は大変便利になっています。

この時期のスペインは、日本と真逆で、クリスマスは家族で、年末年始は友人たちと過ごすわけですが、年末に行われる「忘年会」は日本より盛んで、ほとんどの会社が社員たちを招待し、「クリスマスの食事会」というものを計画します。それと同時に「お歳暮」も会社が社員たちに用意するのが習わしで、バスケットの中にクリスマスの集いに必要なワイン、食前・食後酒、つまみとなる缶詰類、腸詰類、食後のチョコレート、などなどを詰め合わせ、クリスマス休暇前に社員たちに配るのです。足一本のハムをもらった年もありますが、これでしばらく買い物に出なくてすむのは、ありがたいもので、この古き良き習慣が、どんなに経済悪化になっても続いて欲しいと望むのは、筆者だけではないようです。「お世話になった方々に」というお歳暮というこのシステムは、万国共通のもののようです。

ちょっと気が早い気もしますが、良い年末年始を願って、
今年はおしまいにします。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
¡Feliz Navidad y Próspero Año Nuevo!
(フェリス・ナビダー・イ・プロスペロ・アーニョ・ヌエボ)
メリークリスマスと良いお年を!
兼六園の今(11月17日~22日撮影)

大和フデゴケ(ビロードゴケ)の絨毯に、赤や黄色の絨毯が

時雨亭の庭にも絨毯が

山崎山周辺はオレンジの絨毯が

上坂口、
茶店ことぶき横の老樹も見事な色に

桜が岡の桜に負けぬ、紅葉の
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