2018/12/04 業界コラム 杉田 美保子 スペインの知られざる文化 No.20 スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子 スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。 石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。 京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。 スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。 師走です。みなさんはいかがお過ごしでしょうか? 2018 年が 2019 年に変わる、というだけなのに、なぜか落ち着かない日々を過ごしているのではないでしょうか? ということで、今日のコラムも、今年最後です。 年末、大掃除、一年の総集編、などなど、日本の 12 月は、その一年を反省し、新しい年を迎えるにあたって、身も心も清める、という感じがします。 安全な日本旅行は、夢のよう赤ちゃんのキリスト (よだれかけには名前、Jesús=ヘスス=ジーザス)に 金の王冠が載っている(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)ただ、年末の大掃除、というコンセプトは、スペインにはありません。学校などは 9 月、10 月の秋に始まるというのもあり、特に 12 月末がその一年のけじめとなるわけではないようです。まして、12 月のメインエベントは、クリスマス。その時期のためのプレゼント購入作戦が始まるのです。また、クリスマスイブ、クリスマス当日、そしてカタルーニャ地方では 26 日の「Sant Esteve=サン・エステヴェ(聖ステファノの日)」と 3 日連続でキリスト教のお祝い事が続きます。これら三日間は、親戚、家族などが集まり、食事会が行われます。ミサや聖歌隊の歌を聞くために教会を訪れる人も多く、日本のクリスマスとはちょっと違います。 12 個のブドウが入った缶詰も、かなり前から販売されているその反面、年末年始は恋人たち、友達が集い、0 時のカウントダウン。カウントダウンの鐘に合わせて 12 個のブドウを順に食べる、というのは最近のテレビ番組で紹介されたとのことで、今や周知だとか。日本の除夜の鐘の荘厳さとはちょっと違った、カヴァ(発泡性ワイン)での乾杯、ハグやキスの嵐で新年を迎えるのです。こちらも、初日の出や初詣などという日本の年末年始とはちょっと違いますね。 そんな中、クリスマス休暇を利用して、かなりの人が海外旅行をする、というのも特徴です。その行き先が日本で、そして金沢には 2015 年の北陸新幹線の開通後、何しろたくさんの外国人の方がいらっしゃいます。ただ、私がスペインで見ていた人々とは、ちょっと様子が違うのです。なんだか、皆さん胸を張って、悠々と旅行を楽しんでいるように見受けられるのです。 去年の秋にも、安全な日本についてお話ししましたが(スペインには無い日本の魅力 No.3)今年もそのテーマをもっとビジュアルにお届けしようと思います。 観光地でのお仕事というのは、人間ウォッチングするには最適です。秋の行楽シーズンには嬉しい悲鳴、朝から夕方まで園内の案内に忙しく、のんびりと周りを観察できないのがたまにキズです。でも、その中、安全な日本、というのが特に浮かび上がってきますね。百聞は一見にしかず。両国の様子をご覧ください。 兼六園の入口向かいの金沢城の 石川門に向かう外国人観光客たち世知辛くなって来た、という我が国。でも、日本という安全な国を再認識するためにも、長い休暇の取れる方へは、海外旅行をオススメします。 基本、周囲に人がいてもいなくても、バッグ、リュックは前に持つ。これ、鉄則 (写真協力 © Salvador Barrau Viñas) その上、コソ泥が近づいてバッグを探ろうとしても、なるべく面倒に感じるよう、カラビナなどを使い、ブロック! (写真協力 © Salvador Barrau Viñas) スペインでの友人たちの口癖が、「体の動くうちに美保子のいる金沢に行ってみたい」なのですが、イヤイヤ、長寿大国の日本は少々歳を取っても、快適に旅行できるんだよ、と伝えてあります。その一つが優しいバスの乗降システムです。バスにおけるお国柄については、4 月にご紹介しましたが(スペインの知られざる文化 No.12)、つまり安全第一のため乗り降りには細心の注意が払われ、全員着席や、停車してから席を立ってください、というアナウンスが流れたりするのが日本の素晴らしいところです。 金沢は戦災にあっていない町なので、道が狭いのです。そのためバスも小さめなのかどうかはわかりませんが、中央から乗車するバスの前半分のほとんどが優先座席だったりします。朝夕の通勤時にはあまりお見かけしませんが、お年を召した方が乗ってきても十分優先座席があるように思います。ただ、通勤通学時間以外にお年寄りが集中することもあり、全ての方が正しく優先席にお座りになっているため、誰が次に乗ってきた方に席を譲るのか、という、運転手を含み立っている者全員が凍りついたオーバーブッキング状態のバスに乗り合わせたこともあります。金沢のように公共交通機関があまり発達していない街では、高齢者の免許返納による「乗客全部優先座席必要」という副産物を解決するためにも、バスの便を増やす、などの解決方法が望まれます。ちなみに、バルセロナは都会なので、地下鉄で 2-3 分間隔、バスでも 7-8 分間隔で次便が来るため、街中の移動は大変便利になっています。 もちろん、列につくときは、バッグもリュックも前に持つ。 特に、高齢者はひったくりに遭わないように、特に慎重だ(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)この時期のスペインは、日本と真逆で、クリスマスは家族で、年末年始は友人たちと過ごすわけですが、年末に行われる「忘年会」は日本より盛んで、ほとんどの会社が社員たちを招待し、「クリスマスの食事会」というものを計画します。それと同時に「お歳暮」も会社が社員たちに用意するのが習わしで、バスケットの中にクリスマスの集いに必要なワイン、食前・食後酒、つまみとなる缶詰類、腸詰類、食後のチョコレート、などなどを詰め合わせ、クリスマス休暇前に社員たちに配るのです。足一本のハムをもらった年もありますが、これでしばらく買い物に出なくてすむのは、ありがたいもので、この古き良き習慣が、どんなに経済悪化になっても続いて欲しいと望むのは、筆者だけではないようです。「お世話になった方々に」というお歳暮というこのシステムは、万国共通のもののようです。 cestas de navidad(クリスマスバスケット)で 検索をすると、でてくる、でてくるちょっと気が早い気もしますが、良い年末年始を願って、 今年はおしまいにします。 来年もどうぞよろしくお願いいたします。 ¡Feliz Navidad y Próspero Año Nuevo! (フェリス・ナビダー・イ・プロスペロ・アーニョ・ヌエボ) メリークリスマスと良いお年を! 兼六園の今(11月17日~22日撮影)大和フデゴケ(ビロードゴケ)の絨毯に、赤や黄色の絨毯が 時雨亭の庭にも絨毯が 山崎山周辺はオレンジの絨毯が 上坂口、 茶店ことぶき横の老樹も見事な色に 桜が岡の桜に負けぬ、紅葉の この記事に関するお問い合わせはこちら 問い合わせする スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師 杉田 美保子さんのその他の記事 2024/10/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.70 2024/09/10 業界コラム スペインの知られざる文化 No.69 2024/08/07 業界コラム スペインの知られざる文化 No.68 2024/07/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.67 2024/06/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.66 2024/05/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.18 2024/04/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.17 2024/03/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.16 2024/01/10 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.15 2023/12/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.14 2023/11/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.13 2023/10/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.65 2023/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.64 2023/07/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.12 2023/06/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.63 2023/05/09 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.11 2023/04/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.10 2023/03/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.9 2023/02/14 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.8 2023/01/11 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.7 2022/12/13 業界コラム スペインの知られざる文化 No.62 2022/11/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.61 2022/10/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.60 2022/09/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.59 2022/08/09 業界コラム スペインの知られざる文化 No.58 2022/07/12 業界コラム スペインには無い日本の魅力 No.6 2022/06/14 業界コラム スペインの知られざる文化 No. 57 2022/05/11 業界コラム スペインの知られざる文化 No.56 2022/04/12 業界コラム スペインの知られざる文化 No.55 2022/03/08 業界コラム スペインの知られざる文化 No.54 足立 正二安藤 真安藤 繁青木 徹藤嶋 正彦古川 怜後藤 一宏濱﨑 利彦早川 美由紀堀田 智哉生田 幸士大西 公平䕃山 晶久神吉 博金子 成彦川﨑 和寛北原 美麗小林 正生久保田 信熊谷 卓牧 昌次郎万代 栄一郎増本 健松下 修己松浦 謙一郎光藤 昭男水野 勉森本 吉春長井 昭二中村 昌允西田 麻美西村 昌浩小畑 きいち小川 貴弘岡田 圭一岡本 浩和大西 徹弥大佐古 伊知郎斉藤 好晴坂井 孝博櫻井 栄男島本 治白井 泰史園井 健二宋 欣光Steven D. Glaser杉田 美保子田畑 和文タック 川本竹内 三保子瀧本 孝治田中 正人内海 政春上島 敬人山田 明山田 一米山 猛吉田 健司結城 宏信 2024年10月2024年9月2024年8月2024年7月2024年6月2024年5月2024年4月2024年3月2024年2月2024年1月2023年12月2023年11月2023年10月2023年9月2023年8月2023年7月2023年6月2023年5月2023年4月2023年3月2023年2月2023年1月2022年12月2022年11月2022年10月2022年9月2022年8月2022年7月2022年6月2022年5月2022年4月2022年3月2022年2月2022年1月2021年12月2021年11月2021年10月2021年9月2021年8月2021年7月2021年6月2021年5月2021年4月2021年3月2021年2月2021年1月2020年12月2020年11月2020年10月2020年9月2020年8月2020年7月2020年6月2020年5月2020年4月2020年3月2020年2月2020年1月2019年12月2019年11月2019年10月2019年9月2019年8月2019年7月2019年6月2019年5月2019年4月2019年3月2019年2月2019年1月2018年12月2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月2017年12月2017年11月2017年10月2017年9月2017年8月2017年7月2017年6月2017年5月2017年4月2017年3月2017年2月2017年1月2016年12月2016年11月2016年10月2016年9月2016年8月2016年7月2016年6月2016年5月2016年4月2016年3月2016年2月2016年1月2015年12月2015年11月2015年10月2015年9月2015年8月2015年7月2015年6月2015年5月2015年4月2015年3月2015年2月2015年1月2014年12月2014年11月2014年10月2014年9月2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月2013年10月2013年9月2013年8月2013年7月2013年6月2013年5月2013年4月2013年3月2013年2月2013年1月2012年12月2012年11月2012年10月2012年9月2012年8月2012年7月2012年6月2012年5月2012年4月2012年3月2012年2月2012年1月2011年12月2011年11月2011年10月2011年9月2011年8月2011年7月2011年6月2011年5月2011年4月2011年3月2011年2月2011年1月2010年12月2010年11月2010年10月2010年9月2010年8月2010年7月2010年6月2010年5月2010年4月2010年3月2010年2月2010年1月2009年12月